# ATOK不思議現象解決之顛末

ATOKの単語登録データを修正しようと思って、ちょっとした「不思議現象」に遭遇しましたが、なんとか解決して原因も分かったので、いつものとおり自分メモ*1として記事にしておきます。 きっかけは、「れく→連絡」という単語登録の品詞を「名詞」から「名詞…

# 漢字の話、二題

『新九郎、奔る!』の最新刊を読んでたら、見慣れない単語が出てきた。 新九郎、奔る! (16) (ビッグスピリッツコミックススペシャル) 作者:ゆうき まさみ 小学館 Amazon 度重なる寺社領返還の命に従わず、押妨〈おうぼう〉を繰り返す彼〈か〉の者に、余自ら…

# カセツウさんで辞書セミナー

こちらも、告知から時間があまりないのですが、カセツウさん主催のセミナーで辞書についてお話しします。 kase2.info 4月23日(火)14:00~16:00 です。 上の案内ページにもありますが、今回は4/23の「Part1 基礎編」と、日程は未定ですがそれほど遠くないう…

# 翻訳者ブログのご紹介―「ぺんさんの翻訳生活」

「ぺんさん」というTwitter名の同業者がいらっしゃいます。 【翻訳者が最初に揃えたい辞書】を厳選しました。物書堂やジャパンナレッジなどの媒体についても解説しています。翻訳業界の辞書の権威・高橋聡さんによるアドバイスも必見です!高橋さん、ご協力…

# 『オタク用語辞典 大限界』vs 国語辞典

前回、『意味変語彙力帳』をネタにして国語辞典を比較したら baldhatter.hatenablog.com 思いのほか愉しかったので、今度は昨年出版されて話題になった『オタク用語辞典 大限界』をネタにしてみました。 オタク用語辞典 大限界 作者:名古屋短期大学小出ゼミ(…

# 「つーほんウェビナー」にお邪魔します

もたもたしているうちに開催まで2週間を切ってしまいましたが、こちらのイベントにお邪魔します。 tsuhon.jp Peatix の申し込みサイトはこちら。 4月14日 第12回つーほんウェビナー 翻訳者&専門家が大激論! 生成AIで良質な翻訳はできるのか? イベントの趣…

# 復活したEPWINGデータの紹介

ひとつ前の記事でご報告したように、大久保克彦さん作のEPWINGデータを、翻訳フォーラムが公開しています。 www.fhonyaku.jp そちらでもいろいろ書きましたが、今回あらためて公開できたEPWINGデータについて、少しだけ詳しく解説しておきます。お読みになっ…

# 大久保さんのEPWING、復活!

うれしいお知らせです! 大久保克彦さんが公開なさっていた自作のEPWINGデータ。しばらく前から公開が止まっていましたが、このたび、翻訳フォーラムがそのデータを譲り受け、あらためて公開いたしました。 大久保EPWING アーカイブ presented by 翻訳フォー…

# これかぁ! 「~を~をする」構文!

ひとつ前の記事は、もちろん趣味で書いたのですが、実はこのニュースを見たとき、ある箇所で これかぁ! と、文字サイズ200%くらいの音量で叫んでしまいました。 kbc.co.jp このページに文字も載っているので引用します。 映画全盛時代、1日に1万人以上を…

# 中州の大洋映画劇場

福岡・中州の老舗映画館「大洋映画劇場」が、本日いっぱいでその歴史に幕を閉じました。 kbc.co.jp 本当は、閉まる前にぜひ行きたかったのですが、いろいろあって果たせませんでした。 といっても、ここには二度行ったことがあります。初めて訪れたのは2016…

# 言葉の通用度を決めるのは難しい

togetterのこの記事が、FacebookにもTwitter(現、X)*1 にも流れてきたので、ネタにします。 togetter.com 元投稿は「まだGoogleも無い時代」だったそうで、今だったらどの国語辞典にも載ってるよね~、犬猫あわせた飼育数は1600万頭に近いっていうんだから…

# OEDに最近追加された日本語 - 今回はトンカツ推し

Oxford English Dictionary(OED)のニュースレターによると、この3月には1,000以上の新語が追加されたとのことです。 Update - March 2024 また、そのうち日本語から追加された単語については別途の記事があります。 Words from the land of the rising sun…

# ATOKの「ブンコレ」 ― 行儀の悪いショートカットの話

最新版のATOKに、「ブンコレ」という機能が追加されています。 atok.com 謳い文句は「よく使う定型文を簡単に収集、簡単に利用できる!」。 「定型文」というから、「平素よりたいへんお世話になっております」とか「ご査収、ご確認のほどよろしくお願いいた…

# 『意味変語彙力帳』をネタに国語辞典を比較

すこし前に書店で見つけて、こんな本を買っていました。 意味変語彙力帳 総合法令出版 Amazon 結論からいうと少し期待外れだったのですが、せっかくなので、この本をネタにして手元の国語辞典を比較して遊んでみました。 ●発端 ●調査方法 ●あらためて分かっ…

# 『イーロン・マスク』超高速翻訳の舞台裏~翻訳フォーラム・おうちでレクチャー第2弾~

翻訳フォーラムがオンラインでお送りする「おうちでレクチャー」シリーズ。 高橋さきのさんの『アカデミック・フレーズバンク』を取り上げた第1弾は先月、盛況のうちに終了しました。 第2弾はこちら、4月20日です。 『イーロン・マスク』超高速翻訳の舞台裏…

# exploit について

IT系の文脈、特にセキュリティ関連の内容に慣れている人なら、今さら何ということのないこの単語ですが、見慣れない人にとってはなかなか厄介なようです。 Along with the tremendous progress in Internet technology in the last few decades, the sophist…

# アビリティ・インタービジネス・ソリューションズのスクール開講

私がフェロー・アカデミーで「IT・マーケティング」というコース(中級、上級)を担当していることはだいぶ知られていると思います。 実はそれ以外にも、広島に本社を置く翻訳会社、アビリティ・インタービジネス・ソリューションズで毎年開講しているスクー…

# 「通訳翻訳ジャーナル」2024年春号、雑感

久しぶりに、イカロス出版の「通訳翻訳ジャーナル」に記事を書きました。表紙でわかるとおり、辞書と調べものの特集です。 通訳翻訳ジャーナル2024SPRING イカロス出版 Amazon 私の記事はpp.24~27。おすすめ辞書の一覧も、2024年1月時点の価格情報付きでど…

# 英語の月名をカタカナで書いてみる

ふと思いついた、しょーもない話です。 毎年、年末になるとビックカメラが1枚カレンダーを配ってるので、この数年はトイレにそれを貼ってる。毎月の月名のところには、「睦月、如月、弥生……」という陰暦時代の旧称と、英語の月名、そしてそのカタカナが書か…

#『校閲至極』日記、その12

昨日は、9日に行ったばかりの旧岩崎邸庭園を再訪しました。 旧岩崎邸庭園には、本館のほかに撞球室というのが建っていて、本館とその撞球室はなんと地下道でつながっています。地下道も撞球室内部もふだんは非公開なのですが、毎月15日に開かれるガイド付き…

#『校閲至極』日記、その11

なんか、今日あたりからだいぶ暖かくなるみたいですね。先週の金曜日、東京国立博物館からそのまま足をのばして、旧岩崎邸庭園から湯島天神まで回ってみましたが、梅がだいぶ咲いてました。 【初稿で「足を伸ばして」と書いていた誤字をご報告いただきました…

#『校閲至極』日記、その10

昨日(2/11)は、ほぼ40年ぶりの『ストップ・メイキング・センス』 gaga.ne.jp と、ドリパスで上映が成立した『グリッドマンユニバース』を観られて、とてもいい日でした^^ ■ 「名前の間違いはメジャーな方へ」(p.196~)より 皆さんは名前を間違えられたこ…

#『校閲至極』日記、その9

ちょっと別の記事が続きましたが、そろそろこちらも再開しましょう。全253ページのうち前回が189ページからだったので、もうすぐ終わりです。 ■ 「虎○門、霞○関、丸の内の○は?」(p.192~)より 中でも超高層ビルの代名詞として知られる「霞が関ビル」は196…

# 『英英辞典の底力』~英英辞典指南の良書~

英語学習者(主として高校生、大学生)向けでありながら翻訳者にも役に立つ英語辞典指南書は何冊かありますが、英英辞典についての良書を読んだので、ご紹介します。 英英辞典の底力 -- TOEIC®・英検®対策のニュースタンダード (「底力」シリーズ 15) 作者:…

# 『アカデミック・フレーズバンク』の使い方~翻訳フォーラム・おうちでレクチャー第1弾~

告知が遅くなりましたが、元旦の記事で書いたように、今年は翻訳フォーラムのイベントが目白押しです。 baldhatter.hatenablog.com 最初は、「おうちでレクチャー」第1弾として、高橋さきのさんの訳書『アカデミック・フレーズバンク』を取り上げます。 2月2…

# フェローの辞書セミナー(録画配信)、セット販売スタート

フェロー・アカデミーで、私が担当している録画形式の辞書セミナーが配信されていることは、もしかしたらこのブログで書いてなかったかもしれません……。 「翻訳者のための辞書セミナー ~辞書の読み方、使い方~」 「翻訳者のための辞書セミナー ~英英辞典…

# 資料の調査と、自分の言語感覚と―「向上される」をめぐって

「向上する」 という日本語は自動詞のみで他動詞はない。だから「英語力が向上する」とは言うが「英語力を向上する」とは言わない ―― ずっとそう思ってきたし、見かければ修正してきた(QA/レビューでも、授業などでも)。 実際に目にする機会はそうないのだ…

# 謹賀新年 - 2024年

あけましておめでとうございます。 昨年の年頭は、一昨年に父が他界したため喪中のご挨拶となりました。喪の年が明け、こうして例年どおりのご挨拶ができることのありがたさを、改めて噛みしめています。 2022年元日の記事では、 大学4年の末っ子は、就職先…

# 2023年の振り返り

うーん、12月はそれほど忙しいわけではなかったはずなんですが、なんとなく記事を書けないまま、とうとう大晦日になってしまいました。ということで、大掃除の隙をみて、今年最後の記事を書いておきます。 この1年は、なんといっても個人的に出版ラッシュで…

#『校閲至極』日記、その8

安心してください、続いてますよw こんな風に読書日記をたらたら続けるのは、自分の読書日記も兼ねられるので、なかなかいい感じです。 さて、今回は「濁るか濁らないか」がテーマです。 ■ 「折口、柳田……清音の地域性」(p.186~)より 一般に固有名詞は東…