# じゃあ、PC上で使う辞書はどうしよう……

前エントリーで書いたとおり、翻訳者ご用達の辞書の多くがEBWin4では使えなくなってきました。

私があちこちでEBWin4を推奨してきたのは、

  1. 英和・英英・国語の必須または推奨辞書の多くが使える
  2. オンライン辞書も設定してブラウザーがわりに使える

というメリットゆえでした。しかし、LogoVista辞書が非互換となると、前提の1が崩れてしまいます。

うーん、そうなると、辞書環境をこれからそろえるにはどうすればいいのでしょう。

いや、「これからそろえる」場合だけではありません。PCの買い換えなどで辞書環境を作り直すときにも問題になってきます。

EBWin4上でストレートに使える辞書データというと、今はこのくらいです。

あと、EBWin4をダウンロードするとEDICT2も付いてきますが、これはもちろん必須の辞書ではありません。 

baldhatter.txt-nifty.com

JITF2020や、2020年版のフェロー・アカデミーオンライン講座では、

オンライン辞書(無料版/有料版)を使い、
足りない部分をPC上の辞書その他で補う

という方針を出しています。

その「補う」部分が、LogoVista完全非互換となったらどうなるか、ちょこっと考えてみました。

最近の私の辞書話をお聞きくださった方は、その補遺という感じでお読みください。

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# LogoVista辞書データについての重要な話

EPWING*1の辞書タイトルがほとんど出なくなった現在、1つのアプリケーションで複数の辞書をそろえられる環境としては唯一の存在となってしまったLogoVista辞書。

www.logovista.co.jp

LogoVista専用の辞書ソフトで使う規格のため「汎用」とは呼べませんが、2013年頃までに登場したデータ(≒リーダーズ第3版まで)であれば、汎用の辞書ソフトLogophileEBWin4でも使える――

8月のJITF2020「辞書の使いこなし2020」も含めて、これまではこのように説明してきました。そのたびに、こんな図もお見せしてきたので、まだ記憶に新しい人もいらっしゃるかと思います。

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ところが、 2013年頃以前に発売されていた製品でも、

  • 最近になって初めて購入した
  • 以前に購入していたが、PC買い換えなどの理由で「マイページ」からインストーラーを再度ダウンロードした

場合には、2013年頃以降に発売された製品と同様、LogoVista専用の辞書ソフトでしか使えない(=LogophileやEBWin4では使えない)ことが、正式に判明しました(問い合わせました)。

つまり、上の図は

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こうなってしまったということです。

*1:かつて一般的だった電子辞書の共通規格

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# 機械翻訳に関する訳書が出ます

久しぶりの訳書が出ます。

機械翻訳:歴史・技術・産業

機械翻訳:歴史・技術・産業

 

ちょっとした巡り合わせから、なんと、機械翻訳についての本を訳す機会をいただきました。原書 The Machine Translation は、

mitpress.mit.edu

というシリーズの一冊です。シリーズの紹介文にはこうあります。

In today's era of instant information gratification, we have ready access to opinions, rationalizations, and superficial descriptions. Much harder to come by is the foundational knowledge that informs a principled understanding of the world. Essential Knowledge books fill that need. (太字は引用者)

簡単に情報が手に入る今日、個人的な意見や表層的な情報はいくらでも見つかる。その一方、世界を理性的に理解するための根本的な知識に出会うのは難しくなった。そこの欠落を満たすのがEssential Knowledgeシリーズである――これが本シリーズの趣旨です。

本書もまさに、その理念にふさわしい一冊でした。

機械翻訳の流行をむやみにあおるようなアプローチとは対極にあり、そもそも翻訳はなぜ難しいのかというところから説き始めて、機械翻訳歴史を詳しく紹介していきます。各時代に登場した機械翻訳技術についての説明は、いたって平易。また、機械翻訳の評価手法まで扱っているのは、なかなか貴重です。最後には、機械翻訳をめぐって翻訳という産業がどうなっているかという話にまで及びます。

まさに、邦題の副題どおり「歴史・技術・産業」がコンパクトにまとめられているわけです。

ただし、原書の出版が2017年なので、現在主流になりつつあるNMT(ニューラル機械翻訳)についてはそれほど詳しくありません。最新情報ではなく、

機械翻訳というものの全体の輪郭を知る

のに適した教材といえます。最新のNMTについては、東京大学の中澤敏明先生が丸1章を使って解説を付けてくださいました。

出版元である森北出版さんのnote記事に、私が書いた「あとがき」全文が掲載されています。

note.com

詳しくは、こちらもぜひどうぞ~。

9月29日発売の予定です。

# 古い写真のカラー化とMT+PE

すこし前に話題になったこの本、地元の書店で見かけてやはり興味がわいたので、買ってみました。

最初は 「AIでカラー化された写真」に対する違和感について書こうと思ったのですが、著者のひとり渡邊英徳氏が「記憶の解凍」と題して綴っている序章を読んで、まったく別のことを考えました。

「記憶の解凍」は、AIとヒトとのコラボレーションです。

序章はこの言葉で始まります。

AIによるカラー化には得意・不得意があるため、「戦争体験者との対話・SNSで寄せられたコメント・資料などをもとに、手作業で補正していきます」と説明されています。表紙を飾った1枚などは完成までに何か月もかかったそうで、それだけの手間をかけた結果こういう貴重な資料が生まれたのでした。

AIはAIにしかできないこと、AIだからこそ得意なことをする。ヒトはヒトにしかできないこと、ヒトだからこそ得意なことをしてAIを補う……。AIとヒトとの協調という点で、ひとつの理想形を見た気がしました。

……ん? こんな風に「AIとヒトは協力しあえる」みたいな話、わが業界でも最近たびたび見聞きしますよねぇ。そう、MT+PEつまり、MT(機械翻訳)とそれを修正するPE(ボストエディット) という組み合わせのことです。

同じ技術に根ざしていながら、モノクロ写真カラー化プロジェクトとMT+PEとの絶望的な差は何なんだろう――そう考え込んでしまいました。

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# オンライン版ウィズダムの注意点

そうだ、思い出したので書いておきます。

8/27の「辞書の使いこなし2020」でもまた『ウィズダム英和辞典』を強力にプッシュしたので、書籍版を買って三省堂デュアルディクショナリーを使い始めた人が少しはいるかもしれません。

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PC上で使えてとても便利なのですが、ひとつだけ、成句用例を検索するときに注意する点があります。それは

検索する語句をスラッシュで区切る

必要があるということです(スラッシュ前後のスペースはあってもなくてもOK)。

詳しくは、旧ブログの記事をご覧ください。

baldhatter.txt-nifty.com

そうか、当面はこうやって旧ブログの記事紹介を続けるといいのか^^;

# JACI会員もジャパンナレッジ2割引!

先日ご案内したとおり、「日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF2020)」のコマのひとつとして、私の「辞書の使いこなし2020」も無事に終了しました。150名以上の方に聴いていただいたようで、ありがたい限りです。

JITF2020自体も、大トリとなった8/31の越前敏弥さんのセッションで全日程が終了しまた。

いや~、それにしても、改めてものすごいイベントでした。

リアルで開催できないという逆境をオンラインで補う……そこまでは誰にでも発想できますが、まさか丸1か月という前代未聞のプロジェクトをぶち上げるとは想像もしていませんでした。

そんな途方もないプロジェクトを実際に企画し、最後まで運営しきったJACI の皆さんには、心より拍手喝采を送りたいと思います。

これ以降のオンラインイベントのハードルを一気に上げられちゃったじゃないか! という気持ちもありますが^^;

 

さて、私の「辞書の使いこなし2020」では、いつものようにジャパンナレッジ(JK)のことを紹介しました。

japanknowledge.com

その後すぐ、JACI の中の人から「JACI 会員にも、JK年会費の永年2割引を適用してもらえないか」という問い合わせをいただき、JKの運営会社ネットアドバンスさんに話を通したところ、すんなり適用が決まりました

これで、通訳翻訳業界団体のうち

  • 日本翻訳連盟(JTF)
  • 日本翻訳者協会(JAT)
  • 日本会議通訳者協会(JACI)

のどの会員でも年会費永年2割引ということになりましたので、ぜひご活用ください!


JITF2020の各セッションは、JITF2020に申し込んだ人なら、非会員でも9月末まで視聴できます。会員になると、もっと長く見ることができます。

あれだけのセッションを何度でも見られ、しかもジャパンナレッジが2割引になるとなれば、JACI さんへの入会は、翻訳者も含めてかなり視野に入ってくるのではないでしょうか。

# 付箋のこと

本日は、みんな大好き^^; 文房具のお話です。

むかしは「付箋"紙"」という言い方もありました。今でも紙製の付箋"紙"は売ってますし、それはそれで使うわけですが(大量の答案とかゲラを扱うとき)、本を読みながら貼るときは、もっぱらプラスチック製のを使っています。

ところで、付箋を「ポストイット」とも呼びますが、これはご存じのように住友スリーエムの商標ですね。【コメント欄でご指摘いただきました。社名まちがい】

いきなり脱線しますが、こういう記事を書くときにも、旧ブログで紹介したばかりのこれが役に立っています。 

ある名詞が商標かどうかはもちろんのこと、その言い換え方と、どこの会社の商標かまで載っています。

ポスト・イット |商|[スリーエム]→ 粘着メモ付箋

 あ、正しくは中黒ありでした^^;

閑話休題。その付箋で定番と言えばこのタイプでしょう。

左が住友スリーエムの製品、右がダイソー

そっくりに見えますが、左が住友スリーエムの製品、右は100均(ダイソー)のです。ロゴの有無で区別できます。

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