なんか、今日あたりからだいぶ暖かくなるみたいですね。先週の金曜日、東京国立博物館からそのまま足をのばして、旧岩崎邸庭園から湯島天神まで回ってみましたが、梅がだいぶ咲いてました。
【初稿で「足を伸ばして」と書いていた誤字をご報告いただきました。ありがとうございます】
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「たかが記号? されど記号」(p.228~)より
今のパソコンは「ーー」は勝手に「――」に変換してくれますから、この間違いは減りました。
たぶんMicrosoft Wordの機能を指してるんだと思いますが、何のためらいもなくこう書けるところ、これがまさに世間一般の認識なんだなぁと改めて実感しました。そう、Wordのオートコレクト機能の話です。
Officeアプリケーション、つまりWord、Excel、PowerPointには、誤入力などをまさに「勝手に変換してくる」機能があります。これがオートコレクト機能です。Microsoftが「こうなっていたら、きっと普通のユーザーさんには便利だよね!」というお節介親切心から用意している機能です。
- 英文入力のとき、1文字目を大文字にしてくれる
- 普通の引用符をスマートクォートにしてくれる
- 箇条書きを自動的に設定してくれる
- 行頭のスペースをインデントに変えてくれる
- ……
など、たしかに普通に入力しているときには便利なのでしょう。上で引用したように、長音2つ「ーー」をダッシュ「――」に直してくれるというのも、きっと役に立つ。
でも、しかし、だけど、ところが、です。
私たち翻訳者にとっては、この親切心お節介機能がどちらかというと邪魔になります。上の箇条書きに対応していえば、
- 和文中で英語の単語や句を書くときも、語頭が勝手に大文字になってしまう
- スマートクォートを禁止しているお客さんもいる
- 行頭にブレットや数字を打っても、箇条書きとは限らない
- 字下げをインデントではなく全角スペースと指定してくるお客さんもいる
からです。
だから、翻訳者は基本的に
オートコレクトをすべてオフに
しようねー、と私はことあるごとに書いたり話したりしています。先日、サイマル・インターナショナルさんから配信されたWordセミナーでもそう話しましたし、この本でもp.73以降で触れています。
ちなみに、『校閲至極』で書かれていた機能はこれです。
(私はもちろん、すべてオフにしています。この記事のために上のオプションをオンにしました)
もちろん、翻訳の分野や、扱っている文種によっては便利な場合があるかもしれないので、その場合は、
必要な修正機能だけオン
にすればいいと思います。
これに限らず、アプリケーションを使いこなしたければ(PCスキルの上達を図りたければ)、とりあえず
デフォルト設定を疑ってみる
というのは大事な発想です。