うれしいお知らせです!
大久保克彦さんが公開なさっていた自作のEPWINGデータ。しばらく前から公開が止まっていましたが、このたび、翻訳フォーラムがそのデータを譲り受け、あらためて公開いたしました。
大久保EPWING アーカイブ presented by 翻訳フォーラム
電子辞書の共通規格EPWING*1については、旧ブログ時代にも、こちらの新ブログに移行してからも、何度となく記事にしています(関連記事は記事後半を参照)。そして、そのたびに大久保克彦さんのこともご紹介してきました。
EPWING形式の辞書データは、製品版として市販されている(いた)だけではなく、自分が持っているデータをこの形式にして自由に公開することもできるので、かつては、実用的なデータから趣味のデータまで、いろいろなデータがこの形式で公開されてました。
大久保克彦さんは、翻訳者というわけではなく、ご本人によれば「まったくの個人的な趣味」として、数々のEPWINGデータを自作し、公開なさっていました(もちろん、著作権的に問題のないデータだけだけです)。今や絶滅危惧種となったEPWINGデータのうち、今も公開されているのは、ほぼこれらのデータだけです。私たち翻訳者にとって、その存在価値ははかりしれません。その偉業に敬意を表して、私は勝手に
EPWINGジェダイ大久保
と呼ばせてもらっています。
その公開サイトが、事情によりなくなってしまったのですが、作者の大久保さんに連絡をとったところ、私を含む翻訳フォーラムが持っているデータは自由に公開していいとご快諾をいただき、このたび公開の運びとなった次第です。
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EPWINGデータの使い方は簡単です。まず、上のサイトから使いたいデータをダウンロードし、解凍します。※Chromeをお使いの方、ここでダウンロードが進まない方は、末尾の「追記」をご覧ください。FirefoxとEdgeは大丈夫のようです。
次に、EPWINGデータを使うソフトウェア("辞書ブラウザー"とも呼ぶ)が必要です。今ならEBWin4がおすすめなので、まずこれをダウンロードしてください。
ダウンロードしてインストールしたら、EBWin4の[ファイル]→[辞書の追加]または[辞書の編集]を開き、EPWINGデータを登録します。使用準備はこれで完了。
ここから先の詳しい使い方は……あ、そうだ。以前作った
EBWin4マニュアル
がありました。この機会に公開しておきます。
4年前の時点のバージョンのままなので、第3章「EBWin4で使える辞書」はほとんど役に立ちませんが、それ以外はおおむね使えるはずです。時間ができたら、更新して最新版を公開する……かもしれません^^;
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最後に、私がEPWINGとEBWin4についてこれまでに書いた主な記事(のうち、今でも役に立ちそうなもの)を載せておきます。
旧ブログ「禿頭帽子屋の独語妄言 side A」(古い順)
- # EBWin4、地道にバージョンアップ継続中
- # EBWin4 4.4.2、「連続」と「全ての項目」の違い~英和・和英
- # EBWin4 4.4.2、「連続」と「全ての項目」の違い~国語
- # 「うんのさんの辞書」、いよいよV6が登場!
- # WordNetについて、あらためて
現行ブログ「禿頭帽子屋の独語妄言 side α」(古い順)
- # 聖書とシェイクスピア
- # 『ジーニアス英和大辞典』をEBWin4で使うときの注意
- # 今からでもそろうEPWING辞書
- # 日外アソシエーツの販売ページ
- # WordNet の見方、使い方
- # Wiktionary について
先ほど「絶滅危惧種」と書きましたが、「# 今からでもそろうEPWING辞書」と「# 日外アソシエーツの販売ページ」の記事を見ると、まだそれなりに入手できるタイトルはあることが分かります。
※追記
私もダウンロードを試みようとしましたが、Chromeだとダウンロードがブロックされることがあるようです。ダウンロードが進まない方は、
Chrome画面の右上にあるダウンロードアイコンをクリックすると、このように表示されます。右向き矢印をクリックして
「安全でないファイルをダウンロード」をクリックすればダウンロードできるはずです。
*1:概要だけ:電子辞書や電子ブックの共通規格。かつては、メジャーな辞書のほとんどがこの規格のデータで販売されていて、Jamming、Logophile(いずれも公開終了)、DDWin、EBWin4などのソフトウェアにそのデータを登録していけば、簡単に「串刺し検索」環境を作ることができた。経験が一定以上に長い翻訳者なら、かつてこの形式でそろえた辞書を今もPC上で使えているが、2010年頃からは市販製品もほぼ姿を消したため、同じような環境を今からそろえるのは困難。それでも、今回ご紹介するようなデータが細々と公開され続けてはいる。