# LogoVistaが充実してきた―特に小型国語辞典

ここ数年、新しいタイトルがリリースされず、リニューアルされた辞書ソフトウェアの機能も栃木県今市市(というかいま二、いま三くらい)と、パッとしていなかったLogoVistaですが、ここに来て一気に充実してきました。

www.logovista.co.jp

辞書ソフトの使い勝手を我慢すれば、翻訳者の辞書環境に加えておいてもいい、くらいになってきたといえそうです。

『三省堂国語辞典 第八版』で「たいへん」を引いたところです(クリックで拡大します)。

そうなんですよ。今まで物書堂版しかなかった『三省堂国語辞典』が、ついに、ついに、

物書堂以外のプラットフォーム

に載ったのです。これは、2024年の電子辞典周辺ではトップスリーに入る大事件だと思います。

このほかにも、特に小型国語辞典学習英和辞典のラインアップが充実しつつあります。この辺、個人的にはDONGRI版への依存度が大きく、サブスクの割高感が悩みだったので、とてもいい傾向です(とはいえ、LogoVistaブラウザの使いにくさを考えると、DONGRI版も当面は併用しそう)。

以下、LogoVistaにおける最近のリリース状況を年代順にまとめてみました。

●2021年12月『コンパスローズ英和辞典』リリース

書籍版の刊行が2018年11月なので、これも「ようやく」感のあるリリースでした。

リンク:コンパスローズ英和辞典 ダウンロード版

個人的に使用頻度が低い辞書ではあるのですが……

●2021年12月『オックスフォード実例現代英語用法辞典 第4版』リリース

英語用法辞典の定番、Oxford Practical English Usage 4th の翻訳版です。ちょっと毛色が変わってますね。なお、コンパスローズと現代英語用法辞典のセット販売もあって、そっちのほうがお得と書かれていますが、よく比較してみてください。あんまり変わらない気もします^^;

リンク:オックスフォード実例現代英語用法辞典 第4版 ダウンロード版

●2022年12月『ジーニアス英和(6版)・和英(3版)辞典』リリース

こちらは書籍版の出たのが2022年11月でしたから、ごくスムーズに出た印象です。もともと、大修館さんとはいい関係みたいですね。今でもWindows用の『ジーニアス英和大辞典』も

リンク:ジーニアス英和(6版)・和英(3版)辞典

●2023年12月『ウィズダム英和辞典 第4版・和英辞典 第3版』リリース

書籍版が2018年で、やはり「ようやくか~!」のタイトルのひとつです。内容については、今さらいうまでもないでしょう。私のイチオシ学習英和です。

リンク:ウィズダム英和辞典 第4版・和英辞典 第3版

●2023年12月『熟語本位 英和中辞典 新版』リリース

これは、翻訳者にとって必携というわけではなく、むしろ趣味的な範囲ではありますが、あの斎藤秀三郎の英和辞典です。これの電子版が出たのって、実は地味に事件です。というのも、これまでこの辞書の正式な電子版はなく、

岩波書店版にPDFが付属

しており、それをEPWINGに変換するという、かなり変態な特殊な方法で使うしかなかったからです。

その変換スクリプトも、今は手に入らなそうです。そんなわけで、これが、LogoVistaとはいえ電子化されたというのは、基本的にめでたいといえます。

リンク:熟語本位 英和中辞典 新版

●2022年2月『新明解国語辞典 第八版』リリース

これも書籍は2020年刊行で、物書堂やDONGRIがかなり早くから対応していたことを考えると、同じく「ようやく」シリーズです。とはいえ、Windows環境で新明国八が使えるオプションは数少ないので、ありがたい登場です。

リンク:新明解国語辞典 第八版

国語辞典に関しては、2021年から2023年までの間にこれしか動きがなかったので、LogoVistaはどうなるんだ? と一時期は気が気ではありませんでした。

●2024年2月『明鏡国語辞典 第三版』リリース

LogoVistaでいちばんの「お待たせしました」コンテンツといえば、これです。書籍版は2020年に刊行され、物書堂がいち早く対応。やや遅れてDONGRIにも収録されました。にもかかわらず、LogoVistaではいつまでたっても第二版が売られていました。

が、後発だったお詫びということだかどうだか分かりませんが、リリースされてみたら、なんと『品格語辞典』『無礼語辞典』が付いてくるというオマケ付き。

リンク:明鏡国語辞典 第三版 品格語/無礼語辞典付き ダウンロード版

ここから、怒濤の小型国語辞典ラッシュが始まりました。

●2024年7月『三省堂国語辞典 第八版』リリース

冒頭で触れたとおり、今年の電子辞典界隈3大事件のひとつです。長いあいだ物書堂版オンリーで、これを引くためだけにiPadに行く必要がありました。それがとうとう、Windows上で使えるようになったのです。

リンク:三省堂国語辞典 ダウンロード版

どうやら、LogoVistaと三省堂の間で契約に大きな動きがあったんでしょう。

●2024年7月『新明解類語辞典』リリース

類語辞典の定番のひとつも、電子化されました。こちらは物書堂版がなく、頼れるのはDONGRIのサブスクのみでした。やはり三省堂のコンテンツです。

リンク:新明解類語辞典 ダウンロード版

●2024年7月『三省堂 現代新国語辞典 第七版』リリース

控えめな存在ですが、『三省堂国語辞典』に近い事件かもしれません。やはり物書堂版がなく、DONGRIのサブスクのみだったタイトルです。高校生を意識したつくりなので、現代国語の授業で扱うような重要語の扱いが深い、いい辞書です。

リンク:現代新国語辞典 第七版 ダウンロード

 

ということで、これからしばらくは、LogoVista辞書ブラウザを使う機械がすこしは増えそうなので、そうした機能改善リクエストもできるかなぁ。

そういえば、コンパスローズ英和辞典の情報ページに、こんな記載がありました。

辞書データのアップデートがわりとマメなのは、LogoVistaのいいところですね。KODを見ても、この部分は更新されていました。