#『校閲至極』日記、その4

ネタにしている本も軽いノリなので、記事も気楽に続けられるようです。

「「コンビ二」に立ち止まれ」(p.82~)より

[パソコンの]学習能力によっては「コンビ二」と出る。「コンビ」と「二」を分けて変換してしまうのだ。

カタカナ語の一部にカタカナ以外の文字が混入してしまうケース。これは訳文をチェックしていてもわりと頻繁に見かける「あるある」ですね。

なかでも、ここで書かれている漢字の「二」は代表的ですが、私がよく見るのは、長音記号がダッシュやハイフンになっているケースです。

インタ-フェース
インタ―フェース

みたいな場合。人間の目では容易に見落としてしまうので、こういうときこそ機械に頼るべきです。頼りになるのは、何といってもこれ。

www.justsystems.com

安くはありませんが、日本語を使う人には必須です。

また、これはめったにありませんが、カタカナ語にひらがなが混入していることもあります。「へ」「べ」「ぺ」ですね。

こういう混入って、単語全体を入力しているときはまず起こらないはずです。IMEが正しく変換してくれますから。前後で何か間違えて、部分的に修正するときにうっかり間違えちゃうんでしょうね。コワいコワい。

「その「メッカ」はそぐわないかも」(p.85~)より

それをウェブ用のニュースとした原稿を初校していて、次の箇所で赤ペンが止まった。

ん? 「初校」って名詞だけど、サ変動詞として使うのかな? 手元の国語辞典をひととおり調べたかぎりでは、サ変動詞ありとしているものはありませんでした。まあ、日本語のサ変動詞はわりとカジュアルに作れちゃいますし、意味もすぐ分かるので、アリといえばアリなんですけど。

でも、もしかしたらこれも、「その1」で取り上げた「当日物と同様、新聞社とか校閲部とかの内部用語なんじゃないでしょうか。どうもこの本、校閲部の人たちが持ち回りで書いているせいか、この手の社内用語がポロッと出てきてしまうことがあるような気がします。あるいは、そういう「校閲用語」を意図的に使うことで、校閲というお仕事の雰囲気を伝えようとしているのかもしれません。読み進んでいくうちに、そちらのほうがありそうに思えてきます。

ちなみに、知り合いの編集者・校閲者さんの方何人かに訊いてみたところでは、「初校する」とは言わないということでした。

「「綱渡り」続く芸術の秋」(p.95~)より

次は、漢字によーくご注意ください。

「墨田区横綱にある両国国技館」と書いてくる原稿の多いこと!
(中略)
正解は「横網」。

これは私も知らなかった! 国技館と江戸東京博物館がある一帯は、墨田区の

横網

なんですね! 「よこづな」じゃなく「よこあみ」!

これはワナですよ。調べてみたら、2013年の日経経済新聞から、こんな記事を拾えました。

www.nikkei.com

ちゃんと由緒もゆわれもある地名らしいことは分かりますが。地名って厄介です。