# Macmillanの辞書サイトが終了

1か月以上ぶりの新記事です。一昨日でようやく大きな山をひとつ超えました。

Macmillanの無料辞書サイトが、いつの間にかサービスを終了しています。現在は、以前のURLでアクセスしようとすると、Macmillan Educationのサイトにリダイレクトされて、こんなメッセージが表示されます。

6月30日までで終了したとのこと。14年間続いてたんですね。会社はもちろん存続していますが、有料無料を問わず、別形態でサービスを継続/再開する予定はない(今のところ)ようです。

他の学習英英辞書に比べると地味なのですが、語釈がとても平易で、多義語については冒頭にある分類インデックスも親切です(でした)。

私自身は、2007年に出たペーパーバック版に付属しているCD-ROMをLogophileで使ってきましたが、ここ最近はオンライン版もよく使っていて、『翻訳者のためのパソコン大全』でも紹介していました(p.461)。

ちなみに、こちらのペーパーバック版はまだ入手できるようです。

ただし、こちらのCD-ROMはオリジナル形式です。Logophileはその形式に対応していたのですが、Logophile自体も公開が終わってしまいました。

dicwizard.jp

こちらについては記事を書いてませんでしたが、昨年2022年12月31日で終了しています。

Macmillanさんの今回のサービス終了を見ると、やはりどうしてもいろいろと考えてしまいます。今まで気前よく無料の辞書サイトを公開していた英語圏の出版社も、さすがに事情が厳しくなってきているのでしょうか(ご存じの方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください)。

『翻訳者のためのパソコン大全』のp.486で私はこう書いています。

American Heritage(米)、Cambridge(英)、Collins(英)、Longman(英)、MerriamWebster(米)、Oxford(英)など、英語圏の出版社はほぼ例外なく、無料で英語辞典を公開しています。学習英英辞典で基本語彙を調べられるのはもちろん、最新の単語(Brexitとか、三人称単数の they とか)もわりと早く収録されますから、私たちにとって貴重なリソースです。
なぜ、こんなに気前よく公開されているのでしょうか。これは私の憶測なのですが、やはり、英語が事実上の国際語だからなのでしょう。その国際語である英語の出版文化を支えている、そんな自負がどの出版社にもある。だから、いわば国際語の担い手の責任として辞書事業を営み、無料で公開している。そういうことなのだと思います。

英語圏の出版社も、そういう責任感とか使命感だけでは立ちゆかなくなってきているということなのかもしれません。

Oxford Pressでさえ、ずっと無料で公開していた辞書サイトを終了して、ODE相当の内容を有料化しました。

baldhatter.hatenablog.com

このときにも、やはり事情が厳しいのかなと想像したのですが、今回のMacmillanサービス終了で、改めてその想像が裏付けられました。

OxfordとMacmillan以外はまだサービスを続けてくれていますが、この傾向は、これからも続くのでしょうか。

書籍としての辞書というものの存続は日本でも英語圏でもかなり厳しく、オンライン中心という前提はこれからも続くと思われますが、そのなかでもさすがに無料運営は成り立ちにくいでしょう。そうなると、私たちのように「辞書がなければ商売が成り立たない」立場としては、

いいサービスなら有料でも使う

というスタンスを貫くことになるでしょう。

Macmillanさんも、有料でいいのでサービスを再開してくれるといいのですが……。