今どきの言い方だと「サブスク辞書」になるのかな。年間などの単位で契約するオンライン辞書サービスのいろいろについて、今回は詳しい紹介ではなく、ただのメモ程度に雑感を書いてみました。
Oxford English Dictionarywww.oed.com
いわゆるOEDのオンライン版。伝統的な用例主義と語義分類と語釈、機能とインターフェースの秀逸さ、新語・新語義の収録の早さ、どこをとっても「世界一の辞典」の名に恥じないサービス。そのうち1本の記事にしようと思っています。
以前は年間サブスクリプションで3万円超しましたが、最近の改定で110ポンドになりました。翻訳の分野を問わず、その価値に見合う利用価値があります。
無料版(Lexico)も、もちろん十分に利用価値があります。
あと、初めての人はだいたい100ドル/年くらいで初年度利用できます。本来の料金がなかなか見つからないのは、いつも困ります。
Merriam Webster Unabridged
unabridged.merriam-webster.com
Merriam-Webster社、つまり「ウェブスター」という名を冠する各社の米語辞書のなかで「正当」とも言える会社が運営するオンラインの米語辞典。書籍版は1961年発行という古さですが、オンライン版はこの元本をベースとして更新が続けています。しもか、サブスクリプション料金。年間29.95ドルというリーズナブルな設定。
サブスクリプション有効期限が切れる(自動更新される)1週間に
Courtesy Notice From Merriam-Webster Unabridged
という品格のある件名のメールが届きました。これだけのことで、サービスの価値って上がるものなのだな、とつくづく感じました。
MWにも無料版はあり、新語・新語義の採用も比較的早めなので、利用価値は十分です。
ジャパンナレッジjapanknowledge.com
『日本国語大辞典』を擁し、規模も料金も日本最大のオンライン辞書サービス。通称「JK」。百科系、各専門分野、英語以下全の言語などの情報も充実。年間16,500円(パーソナル)または22,000円(パーソナル+R)という料金に見合うかどうかの判断は分かれるようですが、少なくとも私は元を取れるだけ使っていると思っています。
日本翻訳連盟(JTF)、日本翻訳者協会(JAT)、日本会議通訳者協会(JACI)の会員は、永年2割引のサービスを利用できます。この割引料金を通訳・翻訳業界に定着できたのはよかったなぁと思っています。ちなみに、同サイトのこちらの記事などは無料で読めます。
KOD(研究社オンライン・ディクショナリー)
JKに次ぐ規模ながら、研究社のめぼしい辞書がほとんど使えるので翻訳者の利用率はJKより高いようです。年間6,050 円(通常)または12,100 円 (アドバンスト)という料金も、気軽に使える理由でしょう。
紙ベースの辞書(新英和大とかリーダーズ)に対する更新はありませんが、KOD独自のオンライン更新が続いています。ただ、英英サイトと比べると更新頻度が低めなのがちょっと残念です。
インターフェースは、よくいえば質実剛健。悪くいえば素っ気なさすぎ。OEDをもう少し参考にしてほしいなあという気もします。
DONGRIwww.east-education.jp
教育市場(主に中学高校)をターゲットにしたEAST EDUCATIONが運用しているオンラインサービス。ウェブ版、iOS版、Android版でライセンスを共通利用できるところが最大の特長。トータルのサブスクリプション料金ではなく、辞書1点ごとに1年間または3年かのサブスクリプション料金が設定されています。
『小学館 現代国語例解辞典第五版』とか、『旺文社国語辞典 第十一版』とか、ほかではオンラインサービスがまったくない辞書がそろっているのが最大の魅力。インターフェースもだいぶ良くなりました。
ただ、このサービスでけっこう残念なのが、サブスクリプション有効期限前に何の通知もないこと(2022/6/4現在)。ある日いきなり、それまで使っていた辞書が消えます。応援したいので、改善要望を出しました。
それから、内容の一部を範囲選択するとすぐコピーウィンドウが開いてしまうのも困ります。授業中によく見せているので。