# 日本翻訳連盟、個人理事の新たな顔ぶれ

※あらかじめお断り。今回は、いろいろと個人名が出てきます。ご本人たちには無断ですが、なにとぞご了承ください。

 

昨日、日本翻訳連盟(JTF)の総会が開かれました。

www.jtf.jp

今年は任期2年の理事改選に当たる年でもあり、特に個人理事の顔ぶれが大きく変わりました。西野竜太郎さん、井口富美子さん、テリー斉藤さんがご退任となります。入れ替わりに、中野真紀さんと小泉志保さん(以上、個人理事)、マイアットかおりさんと小坂真理恵さん(以上、法人理事)が就任します。

井口富美子さん(4年前から2期)、西野竜太郎さん(5年前から2期半)、お二人ともありがとうございました。個人理事という存在がますます重要になってきた時期に、お二人の存在がどれほど心強かったことか。

そして、6年前に私と一緒に理事職に就いたテリー斉藤さんには、感謝の表しようがありません。テリーさんとは、それに先立つ4年間もジャーナル編集委員として一緒に活動していたので、振り返ってみると、10年という長きにわたって二人でJTFに関わってきたことになります。私にとっては、とりわけ濃厚に業界活動をともにしてきた得がたい仲間です。テリーさんと私が理事になった経緯や、テリーさんの現在の心境については、こちらのブログ記事をぜひ

terrysaito.com

【23:40追記】

西野竜太郎さんも、ご自分のブログでご退任を報告なさっています。

blog.nishinos.com

この記事にもあるように、西野さんは、在任の5年間にかなり「形のある成果」を残されています。

(追記終わり)

この三人が一度に退任するというのを知った私のショックは、察していただけることでしょう。

といっても、私のこの性格ですから、立ち直りは早いw 新たな個人理事の候補がすぐに頭に浮かびました。

一人は、小泉志保さん日本翻訳者協会(JAT)の理事を2年務め(この6月で退任)、またその2年間にはJTFでも幹事を務めながら、JATとJTFのリエゾンとしてご活躍くださっていました。

もう一人は、中野真紀さん。2018年から3年間ものあいだJTF翻訳祭の実行委員を務め(2021、2022年も引き続きアドバイザーとして関与)、特に翻訳祭プログラムの充実には多大な貢献をはたしてくれました。

小泉さんと中野さんは、2018年の翻訳祭(京都開催)で私と一緒に実行委員を努めた「旧友」でもあります。

このお二人にご快諾いただいたところへ、もう一人、マイアットかおりさんも立候補してくださいました。マイアットさんはフランスで翻訳会社を経営なさっている経営者であり、今回も個人理事としてではなく法人理事としてのご就任となりましたが、ご自身も翻訳者であり、考え方や立場は限りなく個人翻訳者に近いという方です。

長いあいだ一緒に活動してきた仲間が去ってしまうのは寂しいことですが、この三人が加わった今、これからの展開を私はとても楽しみにしています。なぜなら、この三人とも必要があるときには絶対

黙っていない

からです。いや、ご本人たちには怒られるかもしれませんが、これは最大級の賛辞ですから^^ これから、どうぞよろしくお願いします m(__)m

ちなみに、今回は個人理事とそれに近い三人についてだけ書きましたが、法人理事として加わったもう一人の原真理恵さんは、株式会社RWSグループの代表取締役社長です。なんと、あのRWSですよ、皆さん! 違う方面で期待が高まります。

ところで、JTFという "業界団体" は、個人翻訳者から見るとそれほど意味のある存在ではないかもしれません。年会費1万円で、入会しても会員メリットが感じられない、そういうお声はたくさん耳に(目に)します。考え方は人それぞれですし、この声も決して的外れではないでしょう。

そもそも、JTFは個人翻訳者の利益を守る団体ではなく、翻訳会社などの法人会員の利益を守る団体だろう、そんな声もありますが、これは違います。たしかに、個人会員の数は決して多くありませんが(JATのほうが多い)、決して法人会員のほうだけを向いているわけではなく、むしろ翻訳会社と個人翻訳者が利害をぶつけ合って、できるかぎり二者両得を目指そうとしています。

そういう場に、個人翻訳者がまさに「個人」という立場で存在感を示し、言うべきことを言っていかなければ、私たちは時代の波に流されていくだけです。特に、これからの翻訳の世界を考えると、個人の発言力は今よりもっともっと強くなっていかなければなりません。

私自身も、この "業界" で少しでも個人翻訳者の立場を守り、良くしていくためにできることがあるなら、私なりにできることをやっていきたい――そう思いながら今に至っています。

似たような思いを、すでに過去に何回か書いていました(旧ブログ)。

禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 翻訳業界というところ

ちょうど10年前の今日の日付。同じようにJTFの総会があって、その翌日にこんなことを書いていたようです。

ちなみに、"業界団体"とクォーテーションを付けている理由は、以下の記事で書いています。

禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # そもそも、翻訳業界って存在するの?

それから、理事に就任したときの2016年の記事はこちら。

禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 日本翻訳連盟(JTF)の理事に就任しました