翻訳フォーラムが主催する次のイベントが決まりました。
題して、「比べて極める辞書の世界」。
辞書部屋チャンネルの見坊行徳さんと稲川智樹さんという素晴らしいゲストもお招きして、4時間たっぷり、ディープな辞書の話をします。
プログラムは以下のとおり。
第1部(高橋聡)
I. 辞書の基本 最新情報
II. 引き比べて知る辞書の個性
III.視聴者代表とライブ辞書引き実演~こんなときは、何を引く?
第2部(ゲスト&高橋聡&深井裕美子)
IV. 出張「辞書部屋チャンネル」
V. Q&A
お申し込みは、こちらから。
師走の日曜日という、ただでさえ慌ただしい時期ですが、アーカイブ配信もあります!
ということで、私がいま考えている話の概要を簡単に書いておきます。
「ディープな話」とは書きましたが、けっしてマニアックな会ではないのでご安心ください。第1部でまず、ちゃんと辞書の基本と最新情報もお伝えします(11月刊行予定の『ジーニアス英和辞典 第6版』についても触れられると思います)。
続く「引き比べて知る辞書の個性」は、私が以前からずっとやってみたいと思っていた企画です。たとえば、これ。
私が辞書を引くたびに Evernote に書きためているメモのひとつです。
語義が一対一対応している単純な語句は別として、目の前にある文脈で少しでも扱いが難しそうな語句とか、解釈や訳出に手こずりそうな語句は、必ず複数の辞書に当たり、しかもこのようにメモを残すことにしています(こういうメモ書きが、辞書セミナーなどの元ネタになることも多いのです^^)。
こうして並べて書き出してみるだけでも、英和・英英、国語のいろいろな辞書ごとに
- 単語を説明する方針の違い
- 訳語や語釈の違い、訳語の補足の違い
- 語法や文型、コロケーションの示し方の違い
- 用例の違い、用例の示し方の違い
- その他、追加情報の違い
などがだんだんと見えるようになってきて、つまりは
辞書ごとの個性
を把握できるようになります。また、辞書ごとの個性といってもそれが固定的ではないことも分かってきます。
さらには、もっと深く単語の意味を追求したいときには、Evernote 上のメモだけではなく、
こんな Excel 表を作ることもあります。これは、basic という単語の語義分類を辞書ごとに並べてみたもの(の一部)です。ここまでやると、特に多義語について、
- 辞書ごとの項目の立て方
- 項目分けの細かさやまとめ方
- 辞書ごとの語義の順番
- 専門語の示し方
といったことも分かってきて、各辞書の方針や特徴についての理解がさらに深まります。
今までの辞書セミナーでは、ここまで深く掘り下げて辞書ごとの特徴をご紹介することはできませんでした。今回は、こういうレベルまで徹底的にお伝えしようと考えています。
引き比べについては、私の PC 上で実演もしますし、そのときには、実は複数名の方に協力をお願いしてあって、私と一緒に手元の辞書を引いてもらうという試みも予定しています。
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そして、そのあとは私も今から楽しみでしかたがないコーナー。辞書部屋チャンネルの見坊行徳さんと稲川智樹さんに、お二人がふだん YouTube チャンネルでやっているような熱く深い辞書話をしてくださるようお願いしてあります。そのあとで、進行役の深井さんと私も加わって4人で辞書談義をお届けします。
ということで、当日はかなり濃ゆい4時間になりそうです。ご質問も受け付けますので、リアルタイム視聴がベストですが、年末年始をはさんで約2週間のアーカイブ配信もあります。
どうぞ、楽しみに!