# 物書堂アプリに「全文検索」がない話

あちこちで物書堂の辞書アプリをおすすめしている私、ひとつお詫びしなければいけないことがあります。それは、

物書堂アプリには全文検索の機能がない

という事実をちゃんとお伝えしていなかったことです。

もっと早く気づくべきでしたが、以下のような経緯で、遅ればせながら気づいた次第。今後は必ず言及するようにしますが、とりあえず、日本海溝より深くお詫びいたします。

数日前、こちらの記事にコメントをいただきました。

baldhatter.hatenablog.com

その方もブログをお持ちで、新しい記事を拝見していたら、こんな記述がありました。

ところで、国語辞書はなぜ語句の説明文を検索出来るようになっていないんでしょうかね。現在のパソコンの性能を考えると全文検索をかけるなんて容易いことだと思うのですが、そういう機能がある辞書は聞いたことがありません。こういうことを日本語で言いたいんだけど、それ何て言うんだっけと思った時に誰もが役立つ機能だと思うので、是非デジタル辞書を販売している方々に頑張ってもらいたいです。

出典:国語辞典や類語辞典を買いまくってもプロ翻訳者の語彙の豊富さにはかなわない

辞書の「説明部分」を検索したいということですね。

これ、実はEPWINGとかLogoVistaの辞書環境なら「全文検索」を使えばできるんです。

 

こちらは、EBWin4(EPWING仕様データを登録できる汎用辞書ソフトウェア)で『岩波国語辞典 第七版』*1全文検索したところ。「魅力」という検索語が、「おもしろい」という項目の語釈のなかでヒットしています。

こちらは、LogoVistaで『岩波国語辞典 第八版』を全文検索したところ。画面で見えている検索オプションは「部分一致」となっていますが、実際には[検索]メニューから[全文検索]を実行した結果です。

余談ですが、この「エロい」というのは七版にはなく、八版で追加されたのですね。

このように、一部の電子媒体では、全文検索を使えば辞書中の説明(語釈)だろうと用例だろうと、存在するテキストをすべて検索対象にできるのですが、残念なことに、冒頭に書いたように物書堂の辞書アプリにはこの全文検索の機能がまったくないのでした。検索できるのは、成句用例までです。

上でご紹介したブログには、

同じくプロ翻訳者の高橋先生がブログで薦められているので、今日までに国語小辞典を3冊と「日本語大シソーラス」と「てにをは辞典」を買い揃えてしまいました。

出典:国語辞典や類語辞典を買いまくってもプロ翻訳者の語彙の豊富さにはかなわない

とも書かれており、なんとも申し訳ないことでした。m(__)m

なお、上に引用したブログ、全体の趣旨はタイトルにあるとおり。これはある意味そのとおりで、たとえばウチの家内も翻訳者なのですが、私と違って辞書をあまり引きません。ヤツは、たぶん私の何千倍も本を読んでいて、やはり語彙が豊富なのです。

*1:データは純正のEPWING仕様ではなく、LogoVista版。2013~14年頃までは、LogoVistaで販売されている辞書データもこのように汎用辞書ソフトウェアに登録できた。新しい版である『岩波国語辞典 第八版』など、それ以降に発売されたタイトルはLogoVistaでしか使えなくなった