# 大久保さんのEPWING、復活!

うれしいお知らせです!

大久保克彦さんが公開なさっていた自作のEPWINGデータ。しばらく前から公開が止まっていましたが、このたび、翻訳フォーラムがそのデータを譲り受け、あらためて公開いたしました。

大久保EPWING アーカイブ presented by 翻訳フォーラム

続きを読む

# これかぁ! 「~を~をする」構文!

ひとつ前の記事は、もちろん趣味で書いたのですが、実はこのニュースを見たとき、ある箇所で

これかぁ!

と、文字サイズ200%くらいの音量で叫んでしまいました。

kbc.co.jp

このページに文字も載っているので引用します。

映画全盛時代、1日に1万人以上を動員をする日もあるなど、戦後の中洲の賑わいを支えてきましたが、建物の老朽化などによって取り壊しが決まり、31日が最後の営業日となりました。

ん? んん?「1万人以上動員をする……」

私の引用ミスではありません。上のページの誤字でもありません。動画を見るとしっかり、アナウンサーが

1万人以上を動員をする

と言っています(字幕でもそうなっています)。「1万人以上動員する」ではなく「1万人以上動員をする」です。

変なところに「を」が入るこの言い方、実は最近だいぶ増えているそうなんですが、皆さん、ご存じでした?

続きを読む

# 中州の大洋映画劇場

福岡・中州の老舗映画館「大洋映画劇場」が、本日いっぱいでその歴史に幕を閉じました。

kbc.co.jp

本当は、閉まる前にぜひ行きたかったのですが、いろいろあって果たせませんでした。

といっても、ここには二度行ったことがあります。初めて訪れたのは2016年秋のこと。福岡翻訳勉強会のイベントに参加したときでした(宿泊がすぐそばのエクセルホテル東急だった)。このときまでまったく知らなかったので、今どきこんな素敵な雰囲気の単館があるのか~と感動しました。ただ、スケジュールの関係で中に入ることはできませんでした。

続きを読む

# 言葉の通用度を決めるのは難しい

togetterのこの記事が、FacebookにもTwitter(現、X)*1 にも流れてきたので、ネタにします。

togetter.com

元投稿は「まだGoogleも無い時代」だったそうで、今だったらどの国語辞典にも載ってるよね~、犬猫あわせた飼育数は1600万頭に近いっていうんだから……*2

……と思って念のために引いてみたら、立項している辞典は意外と少数派でした。

自分が当たり前だと思っている語彙が世間に通用するとは限らない―ふだんから気をつけているつもりですが、改めてその判断は難しいものです。

*1:普通は「X(旧Twitter)」って書くのかな。この併記、いつまでしなきゃいけないんでしょ^^

*2:データは、こちらのサイトより

続きを読む

# OEDに最近追加された日本語 - 今回はトンカツ推し

Oxford English Dictionary(OED)のニュースレターによると、この3月には1,000以上の新語が追加されたとのことです。

Update - March 2024

また、そのうち日本語から追加された単語については別途の記事があります。

Words from the land of the rising sun: new Japanese borrowings in the OED
(会員でなくても読めるはずです)

追加されたのは23語で、この記事の内容については後述します。

OEDのオンライン版については以前から絶賛していて、

baldhatter.txt-nifty.com

旧ブログのこの記事で紹介したときからはインターフェースが変わったものの、洗練されたデザインと機能の充実度は変わっていません。

それ以上にすばらしいと思うのは、やはりオンラインになってからの情報更新の早さです。そういえば、NHKのドラマ版『舟を編む』でも、先日3月24日の回に「これからはもうオンラインの時代でしょ」みたいなことを堤真一が言ったばかりでした。

続きを読む

# ATOKの「ブンコレ」 ― 行儀の悪いショートカットの話

最新版のATOKに、「ブンコレ」という機能が追加されています。

atok.com

謳い文句は「よく使う定型文を簡単に収集、簡単に利用できる!」。

「定型文」というから、「平素よりたいへんお世話になっております」とか「ご査収、ご確認のほどよろしくお願いいたします」みたいによく使うフレーズのことかと思ったら、それだけではなくテンプレートを丸々登録できるようです。

が、これのデフォルトのショートカット設定が無礼でした。最初はその設定に気づかず、ふつうにキーボードを打っているとふと出てくることがあって、調べてみたら、

Ctrl+C の二度押し

でした。

個人的なクセかもしれませんけど、Ctrl+C の二度押しって、うっかりやっちゃうこともあるし、最近キーボードでCのキーがやや鈍いので、なかば意図的に押すこともあります。

よく見たら、右上に歯車アイコンがあって、ここでショートカットを変更/無効化できることが分かりました。

続きを読む

# 『意味変語彙力帳』をネタに国語辞典を比較

すこし前に書店で見つけて、こんな本を買っていました。

意味変語彙力帳

意味変語彙力帳

  • 総合法令出版
Amazon

結論からいうと少し期待外れだったのですが、せっかくなので、この本をネタにして手元の国語辞典を比較して遊んでみました。

  • ●発端
  • ●調査方法
  • ●あらためて分かった各辞典の特徴
  • ●『意味変語彙力帳』のいちばん残念なところ
  • ●その他、雑感
●発端

単語や成句を自分が間違って覚えていないか、使っていないかという不安は常にあるものです。いえ、常にそう警戒していなければなりません。そこで、ときどきこういう本を確認して、危なそうな項目は自分のチェックリストに追加しています。

この本は、いつ頃からか意味や使い方が変化した語について、変化後の意味や使い方(これを本書では「意味変」と呼んでいる)と、本来の意味や使い方(本書では「本意味」)を並べて説明していくという体裁になっています。ただし、「意味変」のほうを「間違っている」と断じるのではなく、あくまでも「こういう風に意味や使い方が変わってきているので気をつけましょう」くらいのスタンスです。取り上げられているのは、本編の100項目と、簡略にまとめてある追加分をあわせて全156項目。執筆に当たって参考にした辞書は、

  • 小学館『日本国語大辞典』第二版
  • 小学館『デジタル大辞泉』
  • 三省堂『大辞林』第四版
  • 岩波書店『広辞苑』第七版
  • 三省堂『三省堂国語辞典』第八版

だということです(「凡例 本書について」より)。

続きを読む