# 人名の発音なら、書籍もまだまだ使える!

人名の発音=カタカナ表記

については、書籍の辞書もまだまだ活躍するとあらためて実感しています。

一般的ではない人名とか、詳しくない言語圏の人名の発音、というかカタカナ表記については、よく質問もいただくのですが、私自身100%確実といえる方法はもちろん持ち合わせていません。

ネット時代ですから、ある程度以上の知名度があればカタカナ表記が見つかることもある。そうでない場合は、動画検索すると、(運がよければ)その人の名前がインタビューやイベントで紹介されているのを聴き取ってカタカナ化できる――質問されると、だいたいそう答えてきました。

ところが、先日たまたま、ある方からこの本をいただいて(これを含めて辞書類を数点)、にわかに認識を改めているところです。

さすが、人名発音の専用というだけあって、かなり珍しい名前でも載っています。しかも、発音候補が多い場合には複数のカタカナ読みが載っていますし、参考資料での収録頻度を基準にして

*** すべてに収録されていたカナ表記
**   8割の資料に収録されていたカナ表記
*    6割の資料に収録されていたカナ表記

というマーキングもあります。2003年発行と、けっして新しくはないのですが、これなら今でも十分以上に役立ちます。実にありがたい本をいただきました。○○さん、この場を借りて、あらためてお礼を申し上げます!

なお、こちらは中古であれば今も入手できる模様。同じ日外アソシエーツから、同じタイトルの新版(2013年)も出ているので、買うならこっちをおすすめします。

旧版は原語の収録数が約9.2万、対応するカナ表記がのべ約13.6万。新版は、原語の収録数が約12.7万、カナ表記がのべ19.4万件なので、だいぶ増えています。

どちらも「辞典」ではなく「字典」ですね。なんか、その書名もいい。

 

そして、ほぼ前後して、今度は斎藤隆央さんがこんなツイートを。

言及されているのは、この本です。さっそくポチりました。

こちらは、カタカナ表記ではなく、発音記号で教えてくれます。カタカナは自分で考える必要がありますが、もちろんこれで十分。2009年上の「アルファベットで引く~」よりさらに古く1969年発行ですが*1、今でも入手できます。92,500件収録されています。

 

調べものはネットというのが当たり前の時代。しかもそのネットの信頼性が年々(いや日々)下がっている今、こういう書籍の良さを改めて知ることができたのは、本当にラッキーでした。

*1:発行年、間違えてました。FBでご指摘を受けて修正

# WordNet の見方、使い方

「翻訳フォーラム辞書デー」のフォロー記事、続いては WordNet に関する補足です。だいたいのことは旧ブログのこちらの記事に書いてありますが、整理と情報更新の意味で、新たな記事を書くことにします。

●WordNetの本家はこちら。
WordNet | A Lexical Database for English

●オンラインで使うときのインターフェースはここです。
WordNet Search - 3.1

もっとも、EPWINGデータをダウンロードして汎用辞書ブラウザEBWin4上に登録したほうが使いやすいので、EBWin4+WordNet EPWINGという環境をおすすめします。

●WordNet EPWINGデータはこちらから。
WordNet EPWING ~~ 日本語・英語WordNet(シソーラス)のEPWING版 ~~

●EBWin4は公式サイトからダウンロードしてください。最新版は4.7.9です。
EBWin4

続きを読む

# 日外アソシエーツの販売ページ

前エントリ「# 今からでもそろうEPWING辞書」にコメントをいただきました。

日外アソシエーツの公式サイトにまだEPWING辞書を
販売している(であろう)ページがあります。
https://www.nichigai.co.jp/cdeb/bun04.html
ただわたしはここからは購入したことはないので詳しいことはお伝え出来ず申し訳ありません。

それを受けて、前記事に少し補足します。

続きを読む

# 今からでもそろうEPWING辞書

1/29に開催された「翻訳フォーラム式辞書デー」のフォロー記事をぼつぼつ書いていこうと思います。

まずは、今からでもそろうEPWING*1辞書データの話です。

ここでご紹介するデータを、辞書ソフト「EBWin4」に登録すれば、十分とはいえないものの、一定の辞書環境ができあがります。しかも、EBWin4ならネット辞書も登録できるので、LogoVistaや物書堂を補完する環境くらいにはなりそうです。

*1:最近はご存じない方も増えたので、いちおう脚注を付けておきます。EPWINGとは、かつて主流だった辞書データの標準規格のこと。このデータをDDWin、Jamming、Logophile、EPWING、digregateといった辞書閲覧ソフト、いわゆる "汎用辞書ブラウザ" に登録すれば、複数の辞書を串刺し検索できた。仕事歴が一定以上の翻訳者は、辞書環境をほぼこれですべてそろえているはず。だが、データ自体を自由にコピーできる仕様だったことから、おそらくはライセンス無視の共用が横行したため、各出版社が次々とこの規格での提供をやめてしまった。ごく最近までは、日外アソシエーツが専門辞書を中心にEPWING辞書の販売を続けていたが、同社も2021年に販売サイトを閉鎖している。【2022/2/3追記 日外アソシエーツのサイトについては、新しい記事を参照】

続きを読む

# 増殖するWikipedia機械翻訳サイト

本日、告知していたイベント「翻訳フォーラム式辞書デー」が終了しました。

ご参加くださった皆さん、ありがとうございます。

今回初めての試みとして、事後のアーカイブ配信もあります。参加者にはすでに情報が届いていると思います。復習などにご活用ください。また、イベント中にメンバー4人が紹介した関連資料については、いつものようにこちらにまとめてあります。fhonyaku.blog.jp

各セッションで使った資料のうち、事後配布を予定しているプレゼンテーション資料は、近日中に参加者に共有されます。私の担当分も、

「翻訳者として辞書を使う―⼊⾨編―」
「たのしい国語辞典」

を配布します。

さて、イベントが終わって、こちらでもシソーラス/類語辞典のことをもう少し書きたいのですが、ちょっと時間がないので、別のことをネタにします。今日、最後の対談のとき私が言った「Wikipediaの機械翻訳サイトが多すぎる」という話です。

続きを読む

# 三上

「みかみ」ではない。象の鼻が長い話も関係ない。「さんじょう」と読む。

ただし、普通には変換候補に出てこないかもしれない。ウチの環境では変換できたが、それはATOKに精選日国が入っているからだろう。

きっかけは、私のこのツイート。

これに、こんなレスをいただいた。

なるほど、うまいこと言うなあ、考えることは昔も今も一緒だなぁと思って、さっそく国語辞典を引いてみたが、「馬上」は馬の上、「枕上(ちんじょう)」は寝ていること、くらいしか出てこない。

続きを読む