# 翻訳者の辞書環境は物書堂の時代か

物書堂の辞書ラインアップが、これ以上ないというくらい充実してきた。現時点でも、ひとつの辞書プラットフォームとしての充実ぶりは、他社サービスを圧倒的にリードしており、翻訳者として辞書環境を考えるときにも、最有力候補と言えるだろう。

まず、つい先日『ジーニアス英和大辞典』が発売されて、ついに三大英和大辞典がすべてそろった。www.monokakido.jp

立て続けに、『研究社 新和英大辞典』もリリースされて、研究社の英語系大辞典の双璧がそろった。www.monokakido.jp

ちなみに、ジーニアスは1/7まで7,000円(通常価格10,000円)、新和英大は1/16まで10,000円(通常価格14,000円)で特価セールス中。

充実しているのは、英語だけではない。

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# 呆れたスタイルガイド

ローカライゼーション業界に20年以上も関わっていて、その間にいろいろなスタイルガイド(翻訳仕様書)を見てきた。

見やすいの、見にくいの。整然としてるもの、混沌としてるもの。合理的なもの、イミフのもの、本当に千差万別。いろいろ見てきたと思う。

にもかかわらず、今まで見たことない、呆れたスタイルガイドに出くわした。クライアントは、誰でも知っていそうな大手ITベンダーだ。

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全編、こんなフォントで書かれている。これ作った人、なに考えてたんだ?

# 翻訳フォーラム式辞書デー、開催

翻訳フォーラムでは今までも、春の「翻訳シンポジウム」のプログラムとして、また単発講座「レッスンシリーズ」として、辞書に関するセミナーを何度か実施してきました。

今回は、「翻訳フォーラム式辞書デー」と称して、丸4時間どどーんっと辞書のお話をお届けします。

2022年1月29日(土)13:00~17:00

Zoom開催です。お申し込みはこちらから。

passmarket.yahoo.co.jp

なお、今回は1週間限定ですがアーカイブ配信も予定しています。当日のプログラムはチケットサイトにもありますが、簡単にご紹介しておきます。

目玉になりそうなのが、メンバー4人でそれぞれ
辞書引きの実際のプロセス
をお見せするコーナーですが、そのほかにも入門から上級まで、翻訳フォーラムならではの内容をお届けします。

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# ジャパンナレッジで凡例を見る

辞書の序文(前書き、はしがき……)と凡例といえば、紙の辞書なら必ず巻頭にあって、まさに辞書の顔とも言うべき存在でした。それが、電子化されてからはすっかり目立たない存在に、それどころか場合によっては存在すら消されてしまうような扱いになっています。

でも、辞書の個性を知るためにも本当は序文を読んだほうがいいし、凡例にしても、通読しないまでも、必要なときに参照できなければ困ります。そこで、過去の辞書セミナーでは、各種の辞書環境で序文や凡例を見る方法を説明したこともありました。

簡単に書いておくと、

  • LogophileEBWin4なら、検索方法を「メニュー」に切り替える。序文やコンテンツが収録されていれぱ「メニュー」の中にある。存在するかどうかはコンテンツ次第。
  • LogoVistaブラウザーでは「ヘルプ」→「凡例」を選択。
  • 電子辞書端末は、カシオ製品なら「シフト」を押して「ガイド」。SII製品なら辞書ごとのトップページで画面下から上にスワイプ。
  • 物書堂アプリは「付録」から。

です。

では、ジャパンナレッジに収録されているコンテンツは? というのが今回のお題です。

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# Vox Populi

いつの間にかもう師走ですね。しわっす!*1

さて、「朝日新聞の英語版なら、天声人語が無料で読める」とFacebookで書いている方がいらっしゃったので、さっそく見にいってみました。

www.asahi.com

タイトルの冒頭に VOX POPULI と付いています。ためしに、天声人語セクションのトップを見ると、

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すべての記事に付いています。

ご存じかの方も多いと思いますが、Vox Pouli は "voice of the people" という意味のラテン語です。これについて「あれっ?」と思ったという話を書こうとしています。

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# スタイルガイドはテンプレートで整理

たまには、翻訳作業に関わることも書きましょうか^^;

産業翻訳のなかでも、スタイルガイド(=翻訳時の表記スタイルを指定するルール集)の分量や細かさは、分野やお客さんによって大きく違います。

先ほど、Twitterで「100ページ超のスタイルガイド」に頭を抱えているという投稿を拝見しましたが、IT系翻訳の世界ではそのくらいの分量のスタイルガイドも決して珍しくはありません。

そんな膨大なスタイルガイドを相手に私がどうしているか、というのを書いておきます。分野や文種によっては、参考になるかもしれません。

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#『研究社 日本語コロケーション辞典』

日本語のコロケーション辞典といえば、同業者の間では『てにをは辞典』がおなじみです。ご存じのとおり、書籍のみの貴重な存在。

電子的に使えるコロケーション辞典となると本当にレアで、私の知る限りでは、LogoVistaの『研究社 日本語コロケーション辞典』しかありません。

私のLogoVistaブラウザーにも入っているのですが、実は活躍する機会が意外と少なく、書籍であろうと『てにをは辞典』に手を伸ばすか、あとはコロケーション検索サイト(少納言、梵天、NINJAL-LWP for BCCWJ など)を調べにいっちゃいます。

実は、この『研究社 日本語コロケーション辞典』は、使い方にちょっとコツが必要です。というか、『てにをは辞典』やコロケーション検索サイトと同じように使おうとすると、たぶん??となるだろうと思います。

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