# 新しい訳書、『イーサリアム 若き天才が示す暗号資産の真実と未来』

タイトルがずいぶん長いのですが、新しい訳書が出ました。本日2/23発売です。

表紙(ではなく、帯です)に写っている若造若者が、原著者のヴィタリック・ブテリン。ロシア生まれのカナダ人ですが、産地がロシアだとしても、ずいぶん変わった名前という気がします。1994年生まれ、まだ30歳にもならない「若き天才」です。YouTubeなどで本人が話しているのを聞くと、なかなかエキセントリックな印象もありますが、たしかに、彼が考えていること、書いていることを読むと、とんでもない人物には違いありません。

そのブテリンが、「イーサリアム」を世に出す直前(2014年)くらいから、あちこちで書いてきてた文章をまとめたのが本書です。

イーサリアムとは何かというと、とてもひと言では語れません。ビットコインと同じように暗号資産(仮想通貨)の一種と言われることもありますが、それはイーサリアムのごく一面。日本語版Wikipediaにはこう書いてあります。

イーサリアム(英: Ethereum)とは、分散型アプリケーション(DApps)やスマート・コントラクトを構築するためのブロックチェーン・プラットフォームの名称、及び関連するオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトの総称であり、イーサリアム・プロジェクトによって開発が進められている。イーサリアムを利用するのに必要な通貨(内部通貨)として「Ether(イーサ)」が用いられ、ユーティリティ通貨として使用される事が意図されている。また汎用コンピュータとして設計され、仮想マシン(Virtual Machine)が動かせる。

ここにも出てくる「分散型アプリケーション」と「スマートコントラクト」が大きなキーワード。web3というバズワードの内実は私にもよく分かりませんが、でもまあ、そういう言葉でくくりたくなるのも理解できるくらい、なんというか従来のパラダイムを飛び出した話ばかりです。

原典のワード数のわりに、全440ページと、思った以上の大部になりました。

昨年6月に出た『現代暗号技術入門』は、かなりの専門書でしたが、こちらは一般書扱いです。だからといって、どなたにもお奨めとは言いにくいのですが、気が向いたら、手に取ってみていただければ幸いです。

【後日追記】

発売から2週間くらい、3/9に「重版かかりました」と連絡がありました。訳書の重版、最近では初めてのことで、素直にうれしい。