今日は、授業より前に記事をアップしちゃおう……ということで、その19。

今年の翻訳祭でも、ひときわ目を引くタイトルのプログラムです。現役翻訳者はもちろんのこと、翻訳学習中の方、経験の短い方には必聴でしょう。
ここでいう「A評価」とは、自分が書いた訳文につけられる評価ランクのこと。具体的には、翻訳学校の授業で提出する答案訳文とか、各種のコンテスト、公開形式の模擬トライアル(たとえば私も担当しているアメリア「定例トライアル」)、いろいろな検定(公式度は問わず。JTFのほんやく検定、サン・フレア・アカデミーのTQEなど)、翻訳会社の実際のトライアルなどで見かけますよね?
「A、B、C…」だけでなく、「A-」とか「C+」のように細分化されることもありますし、尺度は「A、B、C…」とは違うこともありますが、とにかく
訳文に対する評価の最上位=A評価
とご理解ください。
このプログラムでは、そういうA評価になかなか届かない人に、「あと一歩」を埋めるヒントをお届けします。講演概要から引用します。
A評価がもらえないとお悩みのあなた、実はB評価とA評価のあいだには、たいした差はないのだ。(中略)
さらにそれらを踏まえての「想像力」。この「想像力」というのがクセモノで、実は英語翻訳を学ぶ人たちが見落としがちな日常にごろごろ転がっているものなのだ。この講座では翻訳力を高めるのみならず、A評価までのあと一歩について具体的にご説明したいと思う。
リサーチ力、原文理解力、表現力―この3つはどこでも聞きますが、そこに「想像力」が加わっているところがミソです。
登壇者は柿沼瑛子さん。パトリシア・ハイスミスとか、アン・ライス「眠り姫シリーズ」などの名作をいくつも手がけていらっしゃいます。柿沼さんも、話し出したら止まらないタイプというか、とても楽しそうにお話しくださいます。このプログラムでも、きっと楽しそうにお話しくださるものと想像しています。
翻訳学校の授業やトライアルなどで、いつも「もう一歩かなぁ」という思いを抱いている方は多いと思います。そんな方は、きっとたくさん発見があるでしょう。
以下は、不要ではありませんが、ちょっと付け足し。
柿沼さんがおっしゃる「想像力」。それがどんなものか、今から完全に予想することはできないのですが、「想像力」っていうのは、
登壇者が文学の翻訳者だからでは?
産業翻訳には関係ないでしょ?
と思われるかもしれません。そんなことはありません。これって、翻訳フォーラムでよく聞く、また私も必ず授業で口にする
絵を描く
こととも共通する気がしています。翻訳しようとしている原文を読んで、そこに書かれていることを、できる限り忠実に思い描く。どちらもそのことを言っているのではないでしょうか。
「想像力」といっても、勝手に想像の羽を飛ばして飛んでいってしまうのではなく、あくまでも原文に書かれていることことに沿って、ありありと思い描く。そのステップがなかったら、その次の「表現」に進めるはずはありません――
そんな私の考えが合っているかどうか、視聴するのが楽しみです。