# アメリア「定例トライアル」連動講座

〆切まで残り日数が少なくなってしまったのですが、ご案内です。

www.fellow-academy.com

わたしが年に3回、アメリアの定例トライアル〈IT・テクニカル〉を担当していることは、これまでも折にふれて書いてきました。

定例トライアルは、JTF「ほんやく検定」のような公式性の高い検定試験というわけではなく、アメリア会員が自分のスキルをはかる腕試し的なテストです。また、

AA・A・B・C・D・E

という評価が付くだけで、添削があるわけでもありません。それでも、AAを1回、または1年間にAを2回(同じ分野で)取得すると、アメリアの「クラウン会員」資格を獲得できるので、翻訳の仕事を探すとき一定の「箔」にはなります。

ふだんは、添削もなく、担当者の「講評」と「訳例」が公開されるだけですが、今回は、わたしが担当した2025年2月号の課題について解説する講座が開かれることになりました。それが、冒頭の講座案内です。

6/14(土)ライブ配信

ですが、アーカイブ視聴もできます。

AAやAに届かなかった方が、どうやったらあと一歩伸びるのか。そのヒントになるような内容をお届けします。……といっても、このブログをお読みくださっている方々のなかで、アメリア会員がどのくらいいるのかわかりませんけど^^

以下は、わたしが担当している〈IT・テクニカル〉部門の定例トライアルについての雑談です。

わたしが定例トライアルを担当しているのは、2013年6月号からです。10年以上にわたり、36回の課題を出してきました(来月で37回目)。

AA評価を出したのは、これまでに2回だけです。長らく1回だけだったのですが、2025年2月の課題、つまり今回の連動講座で解説する回で、10年以上ぶりに2回目が出ました。ちなみに、AAというのは「このまま仕事の現場に出しても即通用する」といっていいレベルです。

AEまでのパーセンテージを公表するのは差し控えますが、Aは限りなく低い1桁台です。Aは「チェッカーが最小限のチェックを入れるだけで仕事になる」レベルなので、やはりそれなりに狭き門です。

それ以外はほとんどBDの範囲になります。原文が正しく読めていない箇所が目立つ訳文は、その数に応じてほぼCDになってしまいます。おおむね読めていても、日本語の完成度が気になるとBにとどまります。Bでもかなりの水準だと、個人的には考えています。つまり、ABの間にひとつの壁があり、BC以下の間にもやはり壁があるということです。

Eを付けるケースはあまりありませんが、あまりにハチャメチャ(詳しくは述べません)な訳文、いや訳文と呼べないような答案をEとしています。

〈IT・テクニカル〉の評価が厳しすぎるのでは、という声も、これまでに何回か耳にしたことがあります。が、翻訳会社の採用トライアルを考えれば、現実的な設定になっているはずです。AAA(場合によってはB)を取得した方の訳文は、たとえば翻訳会社の採用トライアルにも合格しそうですし、逆にCDの訳文は採用トライアル合格は厳しそうだからです。

 

ところで、「添削はしない」と書きましたが、それは「添削付きで返却はされない」というだけで、実はわたしの手元では添削に準ずる工程を踏んでいます。その添削のとき、英語についても日本語についても、細かな点まで調べているということは、ご想像いただけると思います。ある訳を「間違い」「不自然」と判定するには、きちんとした根拠がなければならず、わたし一人の言語観を基準にするわけにはいかないからです。昨年の翻訳フォーラム・シンポジウムではそういう話をしましたし、今年もその続きをお話しする予定です。

baldhatter.hatenablog.com

 

と、ここまで、なんとなくエラそうな書き方になってしまったので、ひとつだけ言い訳をしておきます。ひと様の訳文をエラそうに「評価」したりしていますが、これは自分が設定した土俵だからできているだけです。同じ定例トライアルのほかの分野を、仮に自分が受けたとして、AAやAを絶対に取れるとは思えません。そのくらい、訳文の評価というのは難しいものです。

それでも、これまでにAAAを取得した方々から、思いがけないところで声をかけていただいたことが何度かあります。それも、実際に翻訳の現場で活躍している方が多い。翻訳の評価って、そういうことなんだろうなと思います。