井上ひさしの『私家版 日本語文法』を再読している。
元の単行本は大学時代に読んでいて、たぶん今も倉庫に眠っているはず。改めて読むとやはり実におもしろいのだが、その話はまたいずれ。
この本の、地名について書かれた「……台の考察」という章で、柳田国男『地名の話』の一節が引用されていた。
略〻平均五十と仮定しても……
(文庫版 p.170)
この「略〻」に「ほぼ」とルビが振ってある。つまり、「略〻」を「ほぼ」と読ませているということだ。
おや? たしか 「略」はこの一字だけでも「ほぼ」と読めるのではなかったっけ。
(ジャパンナレッジバン『字通』より)
この「字訓」の最後にあるとおり、やはり「ほぼ」だ。
ということは、「略〻」の気分は「ほぼほぼ」ではないか!
文字ではもちろん、口頭でも「ほぼほぼ」はまだ一度たりとも使ったことはなかったのだが、柳田国男が使っていたくらいなら、もう使っていいことにしようかw