HUMAN POWERED翻訳勉強会で、久しぶりに辞書の話をします。
Human Powered September 辞書セッション - Human Powered
「HUMAN POWERED翻訳勉強会」は、フランスで翻訳会社を経営しているマイアットかおりさんが2019年秋から不定期で開催している勉強会です。東京でリアルに開催したこともありましたが、今はオンライン開催されています。
今回は辞書をテーマに、私のほか、マットさんこと松田浩一さんと、勉強会主催者であるマイアットかおりさんが登壇します。
私のパートは、上のショットにもあるように、
「ゼロから始める辞書生活」
です。
おそらくだいぶ知られるようになっていますが、私は翻訳に使う辞書にかなり投資しています。一部には趣味という面もありますが、基本的には必要があって買いそろえている。今年の2月頃には、400冊以上持っているという、根も葉もある噂が流れましたw
一方、最近では「英辞郎」(Proを除く)や「Weblio」「コトバンク」など、いっさいお金をかけなくても使える "辞書" リソースがネット上にそれなりにあるのも確かです。
だったら、辞書なんかにお金をかけずとも、そういう
ゼロ円のリソース
で済むのでは? そういう声はあちこちで聞きます。声を聞くだけでなく、実際その範囲で済ませている方もいらっしゃるようです。
いろいろな前提を光速ですっとばして言い切っちゃうと、
本当にそれで済んでるなら、それでもいい
のだろうと思います。
自分の語彙に絶対の自信があって、自信だけではなくちゃんとその裏付け、たとえば圧倒的な読書量とか超人的な記憶力とかもあって、ネット上の辞書があれば事足りる――なかには、そういう方もいらっしゃることでしょう。
でも、残念ながらそんな語彙力も記憶力も持ち合わせていない私は、辞書という、お金はかかるかもしれないけど責任ある編集行程を経てできあがった、先人の知恵のリポジトリを利用するしかありません。
ということで、今回の私のパートでは、
- ゼロ円でどのくらい辞書環境をそろえられるのか
- ゼロ円の辞書環境でどこまで翻訳できるのか
- それ以上の辞書環境が必要なのはなぜか
- (私が考える)最低限の辞書環境には、いくらかかるか
をお話しするつもりです。