1か月以上中断してましたが、ぼちぼち再開してみます。
午前中、定期の通院が終わって、いつものコーヒー豆屋さんに向かう途中、こんな「移動本屋さん」を見かけました。

絵本・児童書、娯楽小説の文庫本、実用書……くらいにゆるくはテーマ分けされてましたが、それでもちょっとした無秩序。意図的にその程度で並べているのだと店の方がおっしゃってました。
最近またずっと古本屋街に足を運んでいないせいもあって、軽い無秩序のなかに並ぶ本の背を眺めているのが、なんだか楽しい時間でした。せっかくなので、雑学系の文庫を2冊買いました。
えーと、しばらく時間が空いたので、いったいこの連載はなに? と思われた方は、まずこちらをご覧ください。
嚆矢 ○
「ものごとの始まり」の意味の「こうし」。これは普通に使う語かな。と思いつつ変換してみると、なるほど、ATOKの変換候補でもかなり進まないと出てこない語ではあった。
盈虧 ×
「えいき」これは知らなかった。国語辞典では、『大辞林』『広辞苑』クラス以上ならもちろん載っている。
(名)スル
〔「盈」はみちる、「虧」はかける意〕
①月が満ちたり欠けたりすること。盈虚。
②利益と損失。【大辞林 四】
ただし、『広辞苑』では「→ 盈虚えいきょに同じ」と空見出し。また、小型辞典になると「みちかけ」の漢字としてだけ載っているものも多い。
みち-かけ【満ち欠け(▼盈ち▼虧け)】
[名]月が丸くなることと欠けること。【明鏡 三】
「虧」の漢字だけを部分検索してみると、
九仞の功を一簣いっきに虧かく
という成句が見つかる。ああ、これに使う「かく、かける」だったか。こっちの成句のほうが有名?
科挙 ○
ん? これは日常語、とまでは言わないが、会話の文脈によってはよく飛び出す語彙だなぁ。中学生・高校生の教科書でこの単語が出てくるときって、「科挙の受験生がカンニングのために作って着込んでいたシャツ」の写真が載ってなかった?
螻蟻 ×
知らなかったけど、字から推測できる熟語だろう。螻は昆虫の「けら」で、これには「螻蛄」という表記もある。この字で思い出すのが、娘の同級生にいた、かなり珍しい名字。「螻蛄河内 けらかわち」。いったい、どんな由来なんだろう。
残心 △
高校で弓道やってたとき聞いた気がする。
丿乀 △
「へつほつ」というやつ。「孑孒」などと並んで、漢字クイズなどで定番だったはず。
偕老同穴 ○
不思議な生き物の名前としてもわりとよく知られてるし、元々の熟語としても、わりとよく使われているイメージだなぁ。
鳳字 △
たぶん故事成語として聞いたことがあるくらいで、× に近い。
(中国、三国魏の呂安が親友の嵆康を訪れて不在だったとき、康の兄の嵆喜が招き入れようとしたがはいらず、門上に「鳳」と書して帰った。喜は、鳳という字が「凡」と「鳥」とに分解され、自分をともに語るに足らぬ凡鳥とあざけった呂安の意に気づかず、喜んだという「世説新語‐簡傲」の故事から)
才能のない人・凡庸の人などをあざけっていう語。【日本国語大辞典】
「嵆」という漢字の読みは「ケイ」だそうだ。
でも、え、この話、なんかひどくない?
わかんないじゃん、そんなの? 「鳳」の字を一本線で分断してたとかさ、そういう目印はなかったんでしょ。だったら、わかんないよねー?
なにか別の資料ないかなぁ…… と思いながら調べていたら、この故事に出てくる嵆康(ケイコウ)さんは、「竹林の七賢人」のお一人らしい。おお。知らなかったわ。
中国の後漢末から魏を経て西晋に至る間(2世紀末から4世紀初め)に、文学を愛し、酒や囲碁や琴を好み、世を白眼視して竹林の下に集まり、清談を楽しんだ、阮籍、山濤、向秀、阮咸(以上河南省)、嵆康(安徽省)、劉伶(江蘇省)、王戎(山東省)の7人の知識人たちに与えられた総称。【日本大百科全書(ニッポニカ)】
このなかで知ってたのは阮籍、向秀、阮咸、王戎くらいだったんだな、たぶん……。ということは、弟の嵆康は七賢人に数えられるほどの人物だったのに、兄の嵆喜さんは、こんな故事として残ってしまうくらいの凡人だったということか……。いわゆる
愚兄賢弟
ってやつですか^^;