昨年の10から今年の2月まで、毎日新聞出版社の『校閲至極』をネタに全12回の記事を書きました。
こういうネタ本がひとつあると、記事を続けていくのに便利です。先日また格好のネタを見つけました。
同じ筆者のこちらの本も、まずまず楽しい本です。
「死ぬまで使わない」というのはもちろん大げさで、実際には「使ったことがある」「わりといつも使っている」言葉もあったりします。特に、同業者であれば「仕事には使ったことがある」語彙もいろいろありそうです。
そこで、さっそくこの『死ぬまで使わない日本語』に出てくる言葉で遊んでいきたいと思います。もちろん、『校閲至極』のときと同様、すべて取り上げるわけではありません。ついでなので、取り上げた語句については
・見たことも聞いたこともない ×
・聞いたことはある △
・わりといつも使っている ○
・翻訳に使ったことがある ▲
くらいにざっくり分類もしてみました。
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第1章「見かけも意味も不可解な言葉」(pp.11~52)より
虎に翼 △
NHKの連ドラはかなり話題になりましたが、わたしは未見です。『ガールズ&パンツァー 劇場版』では、Ⅳ号戦車の操縦手、冷泉麻子がこの言葉を口にしますな。
ところで、この項目では
それにしても、虎に翼が生えた姿は想像するとなかなかシュールで、かわいらしい。
と書かれているんだけど(同書p.13)、「虎に翼が生えた」絵といったら、これだよね?
猟虎膃肭臍猟獲取締法 △
これはわりと有名なネタですね。「らっこおっとせいりょうかくとりしまりほう」と読みます。明治45年の制定されて、今も生きている法律だそうだ。全文を引用できるくらい短い。
ところで、この引用をよく見ると、わたしが入力した小見出しの漢字が実は正しくないことが分かります。本当は「臘虎」と書くのですが(この本の見出しはちゃんとそうなっている)、パソコン上だと「らっこ」は「猟虎」という字にしか変換されないからです。
こういう簡略字はときどきあって、有名なところでは「ぼうとく」が今では「冒涜」としか変換されません。本来は「冒瀆」です。あと、森鴎外の名前に入っている「かもめ」ももともとは「鷗」のはずが「鴎」に置き換えられています。
止め足 △
これは、あれですよ。故・矢口高雄のマタギもの漫画を読んだことがある人はみんな知ってるはず(今は手元にないんで確認できませんが、出てきましたよね?)。もしかして、『ゴールデンカムイ』にも出てきた?
こたつでフグ汁 ×
これは知りませんでした。ふぐといえば、今年はJTF翻訳祭の関係で金沢に2度行きましたが、この名物が驚きでしたね。
ふぐといえば、猛毒テトロドトキシン。毒素が肝臓と卵巣に多いのはよく知られていますが、その卵巣を3年ほど糠漬けしていると毒が消えるということで、名物になっています。しかも、その仕組みが実はいまだに分かっていない。分かっていないけど製造販売が許可されている食品なんだそうです。
今年の翻訳祭実行委員長にそう教えてもらって、もちろんわたしも買って帰りました。日本酒のおともに最高です。
と、今日はこんなところで。