よくあることですが、わたしより桁違いに膨大な語彙力の持ち主である家内から、「虎と豹」にまつわる話をふたつ聞きました。
連休で家に帰ってきていた末っ子が、生まれたばかりのホワイトタイガーの子を見にいくという話から「虎の子」という慣用句の話になり、そこから家内がまず
「虎の子渡し」って知ってる?
と訊いてきたのでした。
虎の子渡し
『大辞林 第四版』で「虎の子」を引くと、こう書かれており、
〔虎は子供を非常にかわいがるというところから〕
大切にして手元から離さないもの。秘蔵の金品。「―の貯金」
|子項目| 虎の子渡し
そのまま「虎の子渡し」に進むと、かなり詳しい解説があります。
宋の周密撰「癸辛雑識続集下」による。虎が三匹の子を生むと、一匹が彪ひょうで他の子を食おうとするので、川を渡るときに親はまず彪を対岸に渡し、次いで他の一匹を渡してから彪を連れ帰り、次に残る一匹を渡し、最後に彪を渡したという故事から〕
①苦しい生計のやりくり。「其蔵なから質に置き、︱にはし給へども/浮世草子・西鶴置土産 四」
②虎が三匹の子を連れて川を渡るさまをかたどった庭石。京都竜安寺のものが有名。
③次々に手渡すこと。リレー式に順ぐりに渡すこと。
この故事って、あれですよね。よくあるクイズ、あれの元ネタっぽい気がします。
この話をFacebookにも書いたら、
「虎の子―渡し」ではなく「虎の―子渡し」でしょうね。
というコメントを深谷先生からいただきました。なるほど。たしかにそのとおりです。
虎のつがいは豹
で、この話が一段落したら、続いて家内が「昔は、虎の女房は豹と思われていたって知ってる?」と訊いてきて、わたしはこちらも知りませんでした。
屏風絵などで、この「虎と豹」というモチーフはわりと一般的なんだそうです。こちらのブログにも写真付きで記事がありました。
(余談ですが、この本丸御殿の工事現場、わたしも名古屋勉強会にお邪魔したとき、見てきました)
トラとヒョウって、動物園で並んでいるのを見ると柄はぜんぜん違うんですが、実物を見たことがない時代になら、こういう混同は容易に起こったんでしょう。「虎の子渡しの故事によると、寅より豹のほうが強いことになっている。ということは、虎と豹のつがいというのも、やはり奥さんのほうが強いのでしょうか^^;
って、こういう話、どうせなら寅年の年初とかに書くべきですかね^^
――ということまで書くと、「虎・トラ・寅」と3種類も使うことになりました。