先週、会期終了ギリギリで「安野光雅展」に行ってきた。

会場は、立川にあるPLAY! MUSEUMという美術館。よく行くシネマシティを通り越して、駅から徒歩10分くらい。初めてだったけど、展示のしかたなどとても好感のもてる施設だった。
Chapter 1 不思議を感じる
Chapter 2 想像からはじまる
Chapter 3 空想とともに
Chapter 4 絵を描く
という構成で、代表的な作品の原画をほどよい密度で展示。絵のすぐそばまで顔を寄せることもできたが、さすがに周囲にはばかりがあるので、今回も単眼鏡をもっていって正解だった。
基本的には撮影禁止だが、こんなオブジェや――

(穴から顔を出せるしかけ)
代表作を拡大版のタペストリーとして展示してあるエリアは撮影OK。うれしいファンサービスだ。

この2枚は、どちらも「旅の絵本」シリーズから。
絵本としてピックアップされていたのは、『ふしぎなえ』(1968年。初めての刊行物)、『さかさま』、『空想工房の絵本』、『おおきな ものの すきな おうさま』(1976年)、『天動説の絵本』、『旅の絵本』シリーズなど。特に、『旅の絵本 Ⅲ』(イギリス編)は(たぶん)ほぼ全ページが展示されていて、かなり時間をかけて見入ってしまった。
画集『野の花と小人たち』からの作品「ひがんばな」には、終戦で復員してきた画伯がこの赤い花を目にしたときの思いが添えられていた。図録にキャプションが再掲されていないのは残念。御所の花を描いた一連の作品とか、『繪本 平家物語』があるのは知らなかったので、これは大きな収穫だった。
今も、買って帰った図録をデスク脇に置いて、仕事の合間合間に眺めている。気鬱になりがちな昨今の生活に、とてもありがたい。
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安野光雅を初めて知ったのは、たぶん1970年代のなかば、高校生の頃だったのだろう。大学2年のとき(1981年)には、あの絵に描かれた風景が見たくて、津和野にも行った。当時はまだ安野光雅美術館はなかったので、もう一度ちゃんと再訪してみたい。
安野画伯の絵はもちろん大好きで、絵本もそこそこもっているのだが、実はそれ以上に、画伯の書く文章のファンでもある。
このように、四字熟語の造語だがよく見ると数字に関連しているタイトルの著作が多い。これは、画伯が数学にも造詣が深いことに関係している。だから、数学をテーマにした絵本も多いし、『天動説の絵本』のように科学方面を題材にすることもあるのだ。
この系譜でいちばん新しいのは、たぶんこれ。
名文かどうかはわからないが、「芸術家の書く文章にはおもしろいのが多い」という経験則に当てはまると個人的には思っている。
変わったところでは、こういう著書もある。
文体論というわけではないが、画伯の書く当意即妙な文章の土台をうかがい知ることができる。
安野光雅の絵も文章も、最近はふだんの生活からすっかり遠のいていた。今回の展覧会をきっかけに、画伯の絵と文章の世界にあらためて触れられたのは、本当によかった。
ちなみに、わたしが美術館や博物館に必ずもっていく単眼鏡はこれ。
もともとは、京都・奈良で建物や大仏を見るために買ったのだが、その後はいろいろな展示で重宝している。




