NHKの自然ドキュメンタリー(中国のミニヤコンカと四姑娘山を扱った番組)を見ていたら、山岳地帯を登っていく一行について
標高を上げる
とか
高度を上げる
という表現が出てきた。「野営した地点から、さらに標高を上げていく」のような使い方だが、家内はこの言い方にあまりなじみがないという(念のために書いておくが、家内の読書量はわたしよりも桁違いに多い)。
山登りの話でよく使うよ、とわたしは答えたが、念のために国語辞典を引いてみた。
まず「高度」を引いてみたが、用例や文型表示で「~を上げる」の形が載っているのは、あまり多くない。
大~中辞典(日国、広辞苑、大辞林、デジタル大辞泉)はいずれも記載なし。小型辞典では以下のとおり。
1 高さの度合い。海水面あるいは地面からの高さ。「高度を上げる」
【現代国語例解 五】
(下線は引用者。以下同)
1 海水面からの高さ。高さの程度。「―を上げる」
【旺文社国語 十二】
1 海水面からの高さ。|例| 飛行機が高度を上げる。
【日本語新】
『てにをは辞典』には、「高度」の項に以下の記述があった。
▲を 飛行機が~(上げる・下げる)。
【てにをは】
「標高」のほうは、「~を上げる」の記載は皆無だ。
一方、コロケーション辞典としてこれを引いてみると――
「高度」「標高」のどちらも「~を上げる」の例がたくさん出てくる。「を」を従える文型ではどちらもトップだ。
この例もそうだが、現在の国語辞典は――スペースに限りがあるとはいえ――こういう文型情報、助詞を介した使い方、コロケーションが全体的に弱い。
だからこそ、『てにをは辞典』がこれほど重宝がられ、またコロケーションを調べるサイトもあるわけだが、国語辞典でももう少し取り上げてもいいのではないか。せめて、コロケーションサイトでトップに来る文型くらいは載っていてほしい。
なんなら、収録語数を思い切り絞った「基本語辞典」のような形にして、そこで文型情報を充実させてみるのはどうだろう。