三が日も四日も過ぎ、日付が変わって今日五日からは世の中も日常に戻るのでしょうね。
でも、まだちょっとだけおとそ気分をひきずって、前回に続き正月っぽい言葉の話をします。
年末には、末っ子が帰省して、母親と一緒にお節を作ってくれます。そうすると、
出汁(だし)をひく
という言葉を何度か耳にします。
さて、このときの「ひく」ってどんな意味なんでしょう?
いや、もちろん意味はわかります。「出汁をとる」と同じでしょう。「出汁のうまみを引き出す」といった語感であることもおおむね理解できます。わざわざ「ひく」というのは、料理の世界のやや専門用語なのかもしれませんが、わが家でもこうして耳にするくらいなんで、決して非日常語ではなさそうです。
『てにをは辞典』で「だし」を引いても(この場合の「引く」はもちろん別の意味w)
だし ▲を 温める。加える。取る。引く。
とありますし、コーパスサイトNINJAL-LWP for TWC(筑波ウェブコーパス)でも、

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「引く」と「ひく」をあわせると14件なので、多いとはいえないまでも、それほどレアでもありません。
なのに、です。手持ちの国語辞典を紙版までぜんぶ調べても、「出汁をとる」というときの「とる」の語義は載っていませんでした。
用例として載せているのも、『三省堂国語辞典』だけです。
①[(:出汁)]←だしじる。「-を取る・-を引く・-が出る・お-」
これも、さすが三国、という事例ですね。