しばらく前から、紹介したいなあと思っている本が2冊ある。
が、ようやく『侍タイムスリッパー』のパンフレットが手に入って、それに載っていたある文章がすばらしかったので、今日はそれを紹介しておきたい。
ご存じのとおり、池袋シネマ・ロサでの単館上映から始まり、人気が出てたちまち全国展開となり、いまでもまだ絶賛上映中という自主制作映画。
この映画のパンフレットが、どこに行っても売り切れ状態でなかなか手に入らない。"聖地" になら売っているんじゃないかという期待も込めて、月曜日にようやくシネマ・ロサまで観にいったら、案の定ちゃんと売っていた。1,200円という強気の値段ながら、それに見合う内容だ。
なかでも、ウシダトモユキという方の文章がすばらしかったので、その文章の冒頭だけ引用させていただく*1。
「映画の町工場」未来映画社が描く未来
「未来」という言葉の響きが輝きを失ってからどれくらい経っただろう。
昭和の頃に耳にした「未来」という言葉には、キレイでオシャレでカッコよく、これから世界が明るく一変していくような希望のイメージがあった。そんな「未来」を実現すべく、24時間働けますか?と聞かれればファイト!一発!!と働いたし、泡がはじけてもオウムが鳴いても、ジャパニーズビジネスマンはくじけずがんばった。
海の向こうでリーマンが倒れても、ジャパニーズビジネスマンはあきらめなかったし911も311も電子で絆をつなぎ励まし合い、助け合った。
それでも世界中が当事者となったパンデミックにはさすがに疲れた。
かつて絆だと思っていた電子の繋がりは、いつしか相互監視の網になり、「それは何ハラですか」と、狩る者狩られる者が疑心暗鬼でギスギスする世の中になった。
全編がこんな調子で続くわけではないんだけど、少なくともこの冒頭部分は、最近わたしが読んだなかでは群を抜いて「気持ちのいい」文章だ。ことばの選び方も好きだし、リズムも心地よい。
ただ者ではないな、と思ったのだが、Twitterのプロフィールによると行政書士さんらしい。
なんだかんだでようやくようやく #侍タイムスリッパー のパンフレットを購入できたウシダトモユキです。こんにちは。『「映画の町工場」未来映画社が描く未来』というタイトルで書かせていただきました。文章で映画に関わるというひとつの夢が叶いました。 pic.twitter.com/9SWdmpn97h
— ウシダトモユキ (@ussiinet) 2024年10月11日
そんな方がいったいどんな経緯でこの傑作と関わったんだろうか。
ということで、デラックス版を観にいきたい。川崎は遠いんだが……
*1:パンフレットには誤植があって、ウシダトモキになってしまっている。その後、修正版も出回っているらしいが、聖地で買ったのは誤植のままだった。