#『死ぬまで使わない日本語』日記、その8

わが家のクリスマスディナー、今年は年内スケジュールの都合により昨日12月14日でした。

毎年買っているターキーも、だいぶ高騰しています。

胡乱 ○

たいていの国語辞典に、「「う」「ろん」とも唐音」という説明がある。漢字の音読みは時代によって漢音・呉音・唐音があって、唐音だと「行灯」の「あん」が有名。つまり、読みそのものが、どうも「うろん」なのだ。それもあって、この「胡乱」という単語自体がとにかく「うろん」な印象。

嫋娜 ×

どこかで見たことはあるのかもしれないが、記憶には残っていない。本文にもある「嫋嫋(じょうじょう)」のほうがまだ見覚えがある。

①なよなよとして風情のあるさま。しなやかなさま。たおやかなさま。
②音や声が細く長く続くさま。
③風がそよそよと吹くさま。【大辞林 四】

『三省堂 現代新国語辞典』(高校生レベル)には載っていないので、常識的に知っている必要はない語彙だろう。ただ、この「嫋」を訓読みすると「嫋やか(たおやか)」なので、漢字はともかく和語としてはだいぶポピュラーな語彙になる。

 

俚言 △

意味からいって、「里言」と表記することもあるらしい。

「りげん」という同じ読みで同じ「俚」の字を使う熟語だと、「俚諺」のほうがもうちょっと一般的だろうか。

[民衆の生活の中から生まれた]世間でよく言われる ことわざ。
|例| 早起きは三文の得。【三現新 七】

英文で saying が出てくると、この「俚諺」を使いたいと思うことがあるんだけど、原語のやさしさと比べると、ちょっと硬すぎるのだよなあ。

 

荊棘 △

この単語って、字面がとても「有刺鉄線」っぽい気がする。

この熟語で「ばら」とも読むと『死ぬまで使わない日本語』には書かれているが(p.61)、「いばら」「おどろ」という読みもあるらしい。

蠱毒 ○

これは、『犬夜叉』にも出てきたし、創作周辺ではわりとよく使われる語彙だろう。「蠱」という字を見て、スタトレシリーズのファンならきとっと、クリンゴン文化のあるものを思い出すはずだ。どんなものかは、もちろんここには書かない。

 

揺曳 ×

これは知らない。「揺れながらなびくこと」だそうだ。

ただし、後半の「曳」の字は普通に見る/使う言葉で、「曳航」とか「曳光弾」などに使う。「曳航」のほうは『午後の曳航』(三島由紀夫の小説、およびそれを原作とする映画)で有名。

「曳光弾」のほうは、最近だとガルパン最終章、大洗女子 vs 知波単学園のジャングル戦で活躍する。

 

蓬髪 ○

旧制中学の校風を描写するとき、「蓬髪・高下駄」という表現が定番。

「ヨモギのように乱れた髪」という意味なのだが、ヨモギという草を見ていても、そんなにボウボウに生えているようには見えない。

と本書の筆者も書いているが、私もそう思う。

毎年、季節になると近所のよもぎを摘んでよもぎ餅を作って届けてくれる叔母がいたのだが、この人もしばらく前に亡くなってしまった。

最近の「蓬」といえばこれ。

dynazenon.net

主人公が「麻中蓬」といい、これは「麻の中の蓬」という慣用句から来ている。

それ自体直立し難い野草のヨモギも、アサに寄り添うように生長すると、自然 直立することを得る。そのように悪人も善人と交わるうちに、感化を受けることが多い。【新明国 八】