#『死ぬまで使わない日本語』日記、その5

今日はインフルエンザの予防接種に行ってきました。

引き続き、第1章「見かけも意味も不可解な言葉」(pp.11~52)から、日記のその5です。

エレファント・イン・ザ・ルーム △
(つうか、カタカナでは×だ)

英語ではもちろんよく見るし、それを訳すこともあるが、このカタカナで見かけたことはない。当然、このカタカタを使ったこともない。

という話だけでは何なので、elephant を使ったほかの慣用句をあげておこう。

white elephant

「金ばかり食うむだなもの、無用の長物、厄介なもの」をいう慣用句。本当にそういうエピソードがあったのかどうかは不明だが、OEDにはこうある。

2. figurative. A burdensome or costly objective, enterprise, or possession, esp. one that appears magnificent; a financial liability.
The story that the kings of Siam (now Thailand) would make a present of a white elephant to courtiers who had displeased them, in order to ruin the recipient by the cost of its maintenance, which is often cited as having given rise to this sense, is now thought to have no historical basis.
Quot. 1721 appears to be an isolated early instance.
1721 In short, Honour and Victory are generally no more than white Elephants; and for white Elephants the most destructive Wars have been often made.
London Journal 16 December 2/2

なんとも陰湿ないやがらせだw

pink elephants

いろんな色の象さんが出てくるものだ。こちらは、「酒(や麻薬)に酔って見る幻覚」のこと。複数形になっているところが幻覚っぽい。

ちなみに、ディズニー映画の『ダンボ』(1941)には、そのまんまピンクの象が出てくるシーンがある。

 

フィリバスター ▲

たしかに、日常語ではない。いちばん最近では、これを訳すときに使った。

「○○バスター」という終わり方をしていると、バスターランチャーとかガンバスターみたいで強そうなんだが、語源はオランダ語の vrij-bueter で、これは freebooter の意味らしい。

『死ぬまで~』の p.43 には、映画『スミス都へ行く』(1939年)の写真が載っている。そういえば、どこかでフランク・キャプラ特集でもやらないかなぁ。

 

ディプロマミル ▲

これも英語では見るし、翻訳では使う。ただし、このカタカナが普通に通じるとは限らないので、説明的に言い換えるほうが多いかも。

この言葉そのものではなく、こういうときに使う mill がおもしろい。もともとは「粉ひき場、製粉所」だが、そこから発展していろんな「製造所、工場」を意味するようになった。cotton mill、paper mill、steel mill、woolen mill、sawmill …… のように使われる。こういう単語を見ると、なんとなく、インガルス一家のお父ちゃんのことを思い出すなぁ。

そして、さらに発展して、

4: something that is compared to a factory because it produces things in large numbers or in a mechanical way

【MW-AL】

という意味で使われるようになった。そのひとつが、この diploma mill で、ほかにも rumor mill とか、divorce mill なんてのもある。基本的にはネガティブな単語が多い。

 

ウェルテル効果 △

マスメディアによる著名人などの自殺報道の影響で、自殺者が増える現象。名称は、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」に登場する主人公に由来する。

【デジタル大辞泉】

うん。たしかに使わない^^;

こういう話であれば、日本人ならわりと高確率で栃木県日光の華厳の滝藤村操の名前を思い出すと思う(最近はそうでもないか……)。案の定、この本でも言及されている(p.45)。

華厳の滝といえば、子どもの頃から何度も訪れていて、なじみのある滝なんだが、今年のはじめくらいには、上流の水量が激減して、ほとんど水が流れないような悲惨な状態になっていたという。なんとも残念な姿を報道でも見かけた。

滝といえば、今年の5月にはようやく、和歌山の那智の滝を拝んできたのだった(前回書いた路線バスに乗って出かけた翌日)。

日本じゅうの滝をすべて見たわけではもちろんないが、やはり三大瀑布に挙げられるだけはある。圧巻だ。

ちなみに、このほかの滝では、尾瀬にある三条の滝が好きだ。水量の多いときはかなり見応えがあった。

どれも長丁場で、また、途中危険な箇所もあるので安易な遡行は避けたほうがよい。

と Wikipedia にはある。たしかに、けっこうしんどい路程の先にある。わたしも、山小屋に一泊した次の朝出かけた(もう四半世紀も前のことw)。