#『死ぬまで使わない日本語』日記、その2

この週末と週明け(11/24~25)は、日本翻訳者協会(JAT)のイベント「Project Nagoya 2024」と、自分がしゃべる Human Powered 勉強会に出かけていたので、日記が途切れてしまいました。

というわけで、その2も引き続き、

第1章「見かけも意味も不可解な言葉」(pp.11~52)

からお届けします。

やかんで茹でたタコ ×

これはもう、面堂終太郎が激怒する絵しか思い浮かばない。

 

行徳の爼△

どんな文脈だったか忘れたが、これはウチの夫婦の会話で出てきたことがある。のだが、これって、わりとどこを見ても漱石からのこの引用しか出てこないのだ。

吾輩は猫である〔1905~06〕〈夏目漱石〉二「迷亭君は気にも留めない様子で『どうせ僕抔は行徳の爼と云ふ格だからなあ』と笑ふ」

(引用は日国@ジャパンナレッジより)

さすがに、漱石のまったくの独走もとい独創とは考えにくい。『日本国語大辞典』第3版の編集に向けて、ぜひこれ以前の引用を掲載してほしい。

www.shogakukan.co.jp

 

ジャーゴン○

これはもう、ほぼ日常語に近い。そして、ジャーゴンといえば、IT 界隈の方ならすぐに連想するのが Jargon File だろう。「ハッカー俗語辞典」と説明されることも多いが、どうして普通の IT 用語でも意外と役に立つ。

www.catb.org

これの EPWING 版データ、探せば今でもあるだろうか……。

 

欠け字△

『死ぬまで使わない日本語』では、

欠け字とは、高貴な人に敬意を表するために、一部を省略した字のことだ。

と説明されているが(p.22)、もちろんそれだけではない。日国では、以下のように説明されている。というか、以下の意味しか立項されていない。

文章や印刷物で、文字、また、その一部が欠けていること。また、その文字。落字、欠画の類。けつじ。

同じジャパンナレッジから『デジタル大辞泉』を見るとこうある。

1 文章・語句中で、文字、また、その一部が欠けていること。また、その文字。欠字(けつじ)。
2 「欠画(けっかく)」に同じ。

『死ぬまで使わない日本語』が「欠け字」として立項しているのは、この「欠画」と同じ語義のほうだが、「欠画」もやはり "死ぬまで使わない日本語" の部類かもしれない。

 

ぎなた読み○

これは普通に使う。ところで、これの説明には必ず

「弁慶が、なぎなたを持って」

という文が引かれるのだが、さて、ではこのフレーズの出どころはどこなのかという説明には出会ったことがない。むしろ、それを知りたい。江戸時代の通俗読み物あたりだったのだろうか。

 

というところで、名古屋の記録を少しだけ。

JATのイベントに参加したのは久しぶり。翻訳関係で名古屋に来たのは、2019年に中部大学の関山健治先生の研究所を訪れたのを別とすれば、2013年と2016年の2回。にもかかわらず、ご当地の同業者は驚くほどわたしのことを覚えていてくれた。初めてお会いした方は、ほぼ決まって「PCスキル大全、買いました」「読んでます」と声をかけてくれて、なんともありがたい限り。

夜の部は「風来坊」というお店。わたしは初めてだったが、知っている人によりと、手羽先は「世界の山ちゃん」よりこちらがお薦めらしい。

翌日の「Human Powered 勉強会」は、平日にもかかわらず、こぢんまりながらなかなか活気があった。

最後は、ちゃんと新幹線ホームのきしめんでしめました。