パソコンに関しては、まだ使っていない人がいたら使うと少し幸せになれるよ、という機能がいろいろあるものです。そういうのをまとめたのがこの本でした。
今回はそのなかからひとつ、「クリップボード履歴」を紹介します。
〈Ctrl+C〉でコピーまたは〈Ctrl+X〉でカットした内容は、「クリップボード」という一時記憶領域に保存され、〈Ctrl+V〉を押すとその領域にある内容が貼り付けられる――これがいわゆるコピペのしくみです。ただし、通常はクリップボード履歴にある最新の内容しか取り出せません。さっきコピーした内容なら貼り付けられるが、もっと前にコピーした内容はもう出てこないということです。
普通ならこれでも困らないのですが、ときには「あ、さっきの内容を貼り付けたい」ときが、意外とあるものです。
- 複数の同じ語句を何度も使うとき:
たとえばニュース記事を翻訳するときは、人名などの固有名詞や特定の用語が何種類も繰り返し出てきます。そういう場面では、クリップボード履歴のない環境はもう考えられません。 - 定型的な表現が何パターンか繰り返されるとき:
たとえばA、B、Cというフレーズがあるとします。Aを入力する → Aをコピペする → Bを入力する → Bをコピペする、とここまで操作したあとで、またAをコピペしたくなっても、普通の〈Ctrl+V〉操作だとBしか貼り付けられません。クリップボード履歴を使えば、Aの内容も取り出せます。 - 仕事中にちょっと寄り道したとき:
仕事中に辞書を引こうと思って語句をコピーした。でも、そこでちょっとSNSに寄り道してしまい、書き込みするときにコピペ機能を使った。さて、仕事に戻ってさっきの単語を貼り付けて検索したい。こんなときにもクリップボード履歴があると地味に便利です。 - ログイン画面で:
何かのログイン画面で、「ユーザー名」と「パスワード」のどちらもコピペで使いたい。そんなときは、両方ともコピーしておいて、あとからクリップボード履歴を使えば、それぞれをゆっくり取り出すことができます。
この機能、Windows 10/11 でも標準で用意されています。
〈Winキー+V〉を押すと、Windows 10 ではこんな画面が表示されます。
この操作で出てこないときは、Windows の[設定]→[システム]→[クリップボード]でオンにしてください。
Windows 11 ではこんなボックスになりました。クリップボードからの貼り付けだけではなく、絵文字とかも入力できるように機能が増えています。
ただし、Windows 標準の機能だと、保存されるクリップボード履歴は最大25件です。
そこでおすすめしたいのが、秀丸エディタの常駐機能です(秀丸エディタのことをあまりご存じない方は、旧ブログで「秀丸」を検索してみてください。いろいろ書いてあります)。
秀丸エディタの[その他]→[動作環境]を開いて[常駐機能]を見ると、こんなダイアログがあるので、[秀丸エディタの常駐]と[クリップボードの履歴を取る]をオンにします。その下にある[ショートカットキー]は、自分の環境で別のショートカットとぶつからないように適宜。
このように設定しておくと、Windows 標準よりはるかに多くのクリップボード履歴を残しておき、いつでもさかのぼって使うことができます
しかも、これは秀丸エディタ限定ではなくWindows上のどこでも使えるので、他のアプリケーションからでも使えます。表示されたリストから、使いたい履歴を選択し、[取り出し]ボタンを押せば、その内容がクリップボード上の最新に変わります。
ここで見えていますが、ついさっきも、thick という単語を調べようと思ったところで、つい Facebook の通知に気をとられ、「大乙嫁語り展」などという文字列をコピペしちゃいました。そのあとでまた単語調べに戻った次第です。