この本が出てから、授業などではことあるごとにおすすめしてきたのに、旧ブログでもこちらでもまだ紹介していませんでした。
石黒圭氏のこれです。
同じく接続詞のことがよく分かる、
この本もよく知られています。まずひととおり「接続詞」――広く「接続表現」―― について把握したい場合には、こちらの新書をおすすめします。
一方、リファレンスとして使いたいときは、今回ご紹介する『「接続詞」の技術』がとても便利です。調べたい接続詞(接続表現)をインデックスから探せます。
添削などをしていて、訳文に使われている接続詞に疑問を感じたとき、この本に頼ります。
たとえば、つい先日も、Although で結ばれたやや長い文を、いったん切って訳してある訳文がありました。当然、2文目は逆接の接続詞で始まるわけですが、その訳文で使われていたのが、
とはいえ
という接続詞。
さっそく、本書のpp.50-51を参照しました。
「逆接|制限」というラベルが付いた、
ただ/とはいえ/だからといって
という項です。「バリエーション」として
とはいっても/そうはいっても/とはいうものの/・・・
などを並べたうえで、本文はこう始まります。
制限の接続詞は、読み手が先行文脈から、書かれている以上の内容を汲みとろうとするのを制限する働きを持つものです。そうは書いたけれども、そこまでは意図していないというタガを後からはめるようなもので、やや補足的に働く逆接です。
(太字は原文ママ)
すばらしく分かりやすいと思いませんか? 本文では、この説明のあとに、例文を交えてさらに詳しい解説が続きます。
しかも、バリエーションも含めて、相当数の接続表現が載っているので、答案で見かける疑問はたいてい解決します。
翻訳者はもちろんのこと、翻訳学習中の方には強力におすすめしたい一冊です。