# 機械翻訳に関する訳書が出ます

久しぶりの訳書が出ます。

機械翻訳:歴史・技術・産業

機械翻訳:歴史・技術・産業

 

ちょっとした巡り合わせから、なんと、機械翻訳についての本を訳す機会をいただきました。原書 The Machine Translation は、

mitpress.mit.edu

というシリーズの一冊です。シリーズの紹介文にはこうあります。

In today's era of instant information gratification, we have ready access to opinions, rationalizations, and superficial descriptions. Much harder to come by is the foundational knowledge that informs a principled understanding of the world. Essential Knowledge books fill that need. (太字は引用者)

簡単に情報が手に入る今日、個人的な意見や表層的な情報はいくらでも見つかる。その一方、世界を理性的に理解するための根本的な知識に出会うのは難しくなった。そこの欠落を満たすのがEssential Knowledgeシリーズである――これが本シリーズの趣旨です。

本書もまさに、その理念にふさわしい一冊でした。

機械翻訳の流行をむやみにあおるようなアプローチとは対極にあり、そもそも翻訳はなぜ難しいのかというところから説き始めて、機械翻訳歴史を詳しく紹介していきます。各時代に登場した機械翻訳技術についての説明は、いたって平易。また、機械翻訳の評価手法まで扱っているのは、なかなか貴重です。最後には、機械翻訳をめぐって翻訳という産業がどうなっているかという話にまで及びます。

まさに、邦題の副題どおり「歴史・技術・産業」がコンパクトにまとめられているわけです。

ただし、原書の出版が2017年なので、現在主流になりつつあるNMT(ニューラル機械翻訳)についてはそれほど詳しくありません。最新情報ではなく、

機械翻訳というものの全体の輪郭を知る

のに適した教材といえます。最新のNMTについては、東京大学の中澤敏明先生が丸1章を使って解説を付けてくださいました。

出版元である森北出版さんのnote記事に、私が書いた「あとがき」全文が掲載されています。

note.com

詳しくは、こちらもぜひどうぞ~。

9月29日発売の予定です。