先日お伝えしたように、「日本通訳翻訳フォーラム2020」の8月24日(月)のプログラムとして、翻訳フォーラムのセッションが一般公開されました(録画視聴は申し込み者のみ)。
常時500人ほど、ピーク時には600人近い方がご視聴くださったようで、リアルタイムで流れていたTwitterの反響もなかなかだったようです。
たいへん盛り上がっているこのイベントも残り1週間を切りました。
そして、明日8月27日(木)19時からは、私の辞書話があります。
辞書の話は、もうあちこちで話したり書いたりしていますが、翻訳者・通訳者が使う辞書の環境は年々変化しています。今回も、2020年時点での最新情報をお伝えする予定です。
- 翻訳者が使う辞書環境の基本
- なんでそんなに辞書が必要なのか
- 帽子屋おすすめの辞書2020年版
こんな感じを予定しています。ただし、「辞書や辞書ソフトの使い方」の基本あたりは短めにして、具体的にどの辞書がどんな点でいいのか、を語る2時間にしようかなぁと考えています。
ところで、私が辞書のことを話したり書いたりするようになったのはいつ頃からだったのかな……と、ちょっと記憶をたどってみました。
旧ブログには、「辞典・事典」というカテゴリーがあって、いま見たら200近い記事がありました。自分で言うのも何ですが、なかなか読み応えあり^^;
このカテゴリー最初の記事が2005年、2006年頃には始まったばかりのWeblioをおもしろがって紹介したりしています。
OEDとODEの違いを説明したり、手元にあるEPWINGデータを紹介したり、初めて買った電子辞書端末の話もありますね。
2008年になると、セイコーインスツル(SII)からPASORAMA機能搭載のシリーズが始まって、さっそくそれを取り上げています。
2010年には、海野さんの第5版を紹介していますが、PASORAMAモデルを買ったときの次の記事、
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 電子辞書 SR-G9003 を導入
までは半年以上も空いているので、まだそれほど頻繁に辞書情報を発信していたわけではなかったようです。2011年のこの記事あたりから、辞書カテゴリーの記事が増え始めます。どうやら、
2011年から2014年の間に、翻訳者の辞書環境に大きな変化があった
と言っていいようです。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 『てにをは辞典』(三省堂)
2011年2月。書籍版しかない辞書を無視できなくなってきた、象徴とも言える辞典が刊行されました。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 研究社『日本語表現活用辞典』、Jammingでは「連続表示」に
2012年8月。LogoVistaの辞書データを汎用の辞書ブラウザーで使うのが怪しくなり始めた頃の記事です。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # Weblioを使うときの注意
2012年9月。最初はおもしろがっていたWeblioに出典不明のデータが載り始めました。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # SII DF-X10000 - 電子辞書情報 - 2013年春改訂版
2013年3月、PASORAMA搭載モデルの最終にして最高となったシリーズが出ます。実際の最終製品は、同年9月に出たDF-X10001で、大きな違いは『リーダーズ3』の有無でした。ところが、ありがたいことにX10000をファームウェアアップデートすると『リーダーズ3』を追加できるということで、私はそのオプションを選択しています。そして、この『リーダーズ3』がまたひと悶着を起こします。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # リーダーズ第3版 - LogoVista版リリース以降の顛末
この頃すでに、各出版社からEPWING版は出なくなっていたため、LogoVista版は『リーダーズ3』をPC上で使う唯一の選択肢でした。ところが、どうもそのLogoVista版を汎用辞書ブラウザ(Jamming、DDWin)でうまく使えないらしい……ということで、同業者の間で大騒ぎになりました(EBWin4ではきれいに使えます)。結局、不正使用を防ぐセキュリティ強化のためにデータ仕様が大きく変わったためと判明し、これ以降に出るLogoVistaデータは、LogoVistaブラウザでしか使えなくなってしまいます。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # SIIの電子辞書ビジネスからの撤退に思う、その1
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # SIIの電子辞書ビジネスからの撤退に思う、その2
そして、かなり唐突に、翻訳者の希望の星SIIが撤退を表明。
翻訳者の間で頻繁に辞書環境のことが話題になり始めたのは、たぶんこの頃からです。
・EPWINGでそろえることはできなくなった
・頼みの綱だったLogoVistaもダメになった
・PASORAMAももう出ない
さあ、これからはどうやって辞書をそろえていけばいいんだろう……。
で、そういう話をしているうちに、「辞書環境の整備もだけど、そもそも翻訳者は(自分も含めて)辞書の中身をちゃんと読んでいるのだろうか」という疑問が出てきました。
そういうことを同業者の間で情報共有したいなぁ、それがたぶん、辞書について話したり書いたりするようになった直接の動機です。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # EBWin4、地道にバージョンアップ継続中
EBWin4を紹介したのは、たぶんこの記事が最初。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # iOSアプリ「検索ハブ」 - さらにPASORAMAに近い
この頃から、iOS/Androidのアプリ辞書が増え始めます。そこで、PCとタブレットを連携させてPASORAMA的に使えないものか……ということも記事にしたりしました(※「検索ハブ」はもうありません)。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 十人十色(7/5)の発表資料といくつかの補足
あったあった。人前で辞書の話を始めたのは、これが最初だったかも。十人十色のイベントとしても、かなり濃い内容ですね。辞書編では、EPWINGマイスターの大久保さんや、「かんざし」作者の内山さんもお話ししてくださいました。
◆禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 最近の辞書環境について - セミナーの予告を兼ねて
そしてこれですね。ここで予告しているあたりから、辞書のノウハウをいろいろ話し始めることになりました。
旧ブログの「辞典・事典」カテゴリー、ここまででまだ全分量の5分の1くらいでした。我ながら、よく書いてきたなぁ。