# ATOK不思議現象解決之顛末

ATOKの単語登録データを修正しようと思って、ちょっとした「不思議現象」に遭遇しましたが、なんとか解決して原因も分かったので、いつものとおり自分メモ*1として記事にしておきます。

きっかけは、「れく→連絡」という単語登録の品詞を「名詞」から「名詞サ変」に変更しようとしたことでした*2。いつものATOKツールバー

から[辞書メンテナンス] →[辞書ユーティリティ]を開き、[辞書ユーティリティ]ダイアログで「れく」を検索しました。

ヒットしません……

なんで……?

*1:この「自分メモのためのブログ記事って、けっこう役に立ちます。書いたこともその内容もすっかり忘れていて、何か困ったことがあってググったら自分のブログがヒットしたという経験も、一度や二度ではありません。

*2:ATOKの単語登録で、品詞の設定はけっこう大切です。この場合なら、「れく→連絡」という登録の品詞が名詞だと、「れくする→連絡する」とは変換してくれないので、「れく」「する」と切って入力しなければなりません

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# 漢字の話、二題

『新九郎、奔る!』の最新刊を読んでたら、見慣れない単語が出てきた。

度重なる寺社領返還の命に従わず、押妨〈おうぼう〉を繰り返す彼〈か〉の者に、余自ら鉄槌を加える!!

(カッコ内は原文ママのルビ。太字は引用者)

まだ若い足利義尚が、ある場面で口にするセリフ。このなかの「押妨 おうぼう」というのは知らなかった。「横暴」ではない。さっそく辞書を引くが、さすがに小型辞典には立項されていない。

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# カセツウさんで辞書セミナー

こちらも、告知から時間があまりないのですが、カセツウさん主催のセミナーで辞書についてお話しします。

kase2.info

4月23日(火)14:00~16:00

です。

上の案内ページにもありますが、今回は4/23の「Part1 基礎編」と、日程は未定ですがそれほど遠くないうちに「Part2 実践編」を続けて開催します。

 

「翻訳者として辞書を選び使いこなす Part1 基礎編」

 4月23日(火)14:00〜16:00

  • 事前質問への回答から
  • 訳が辞書を引くということ
  • 辞書の特徴〜さまざまな観点から〜
  • 複数の辞書を引く理由
  • オンライン辞書で気をつけること
  • これからそろえる辞書環境

「翻訳者として辞書を選び使いこなす Part2 実践編」

 日時未定

  • 英和辞典と英英辞典
  • 国語辞典
  • 辞書の引き方・読み方
  • 辞書を引き比べながら見えてくること
  • 辞書からどう訳文を作っていくか

という内容でお届けする予定です。

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# 翻訳者ブログのご紹介―「ぺんさんの翻訳生活」

「ぺんさん」というTwitter名の同業者がいらっしゃいます。

Twitter(現X)*1では相互フォローしていましたが、不勉強なことに、ブログをお持ちというのは存じませんでした。

その「ぺんさん」が、ご自分のブログで上のような記事を書いていらっしゃいます。私がこれまでに発信してきた辞書に関する話を熱心にフォローしてくださっているということで、なんともありがたい限りです。

上に引用した記事でも、私が出した情報をもとに、ご自分でその情報を消化したうえで、見事にまとめています。「翻訳者の辞書選びに関するFAQ」では、私も回答に協力しました。

  • 収録語が多い辞書ほどよいでしょうか?
  • ネット検索で事足りると思うのですが、辞書は必要ですか?
  • 出版年が古い辞書は役に立ちませんか?
  • 日本語の語彙を増やすために「広辞苑」は必要ですか?
  • 英辞郎やWeblioを使うことをどう思われますか?
  • 辞書はどのくらいの頻度で買い替えるべきですか?

どれも、とてもよく耳にする質問です。こちらでは、あまり長くならない範囲でお答えしましたが、辞書のことをまだよく知らない人には参考になるとは思います。

ぺんさん、ありがとうございます!

 

*1:この前も使いましたが、この併記、いつまでしなきゃいけないんでしょ^^

# 『オタク用語辞典 大限界』vs 国語辞典

前回、『意味変語彙力帳』をネタにして国語辞典を比較したら

baldhatter.hatenablog.com

思いのほか愉しかったので、今度は昨年出版されて話題になった『オタク用語辞典 大限界』をネタにしてみました。

リンク先の商品ページで「続きを読む」を開くと分かりますが、この本、「オタク用語」というくくりで売るにはちょっとネタが細かすぎたようです。

第1章 オタク共通用語
第2章 三次元共通用語
第3章 日本の男性アイドル界隈用語
第4章 K-POP界隈用語
第5章 2.5次元界隈用語
第6章 二次元共通用語
第7章 ゲーム共通用語
第8章 アークナイツ界隈用語
第9章 スプラトゥーン界隈用語
第10章 ファイアーエムブレム界隈用語
第11章 プロセカ界隈用語
第12章 ポケモン界隈用語
第13章 原神界隈用語
第14章 BL界隈用語

第8章以降は個別のゲームタイトルにまで入り込んでいるので、縁がない者にはまったく未知の世界です。

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# 「つーほんウェビナー」にお邪魔します

もたもたしているうちに開催まで2週間を切ってしまいましたが、こちらのイベントにお邪魔します。

tsuhon.jp

Peatix の申し込みサイトはこちら。

4月14日 第12回つーほんウェビナー 翻訳者&専門家が大激論! 生成AIで良質な翻訳はできるのか?

イベントの趣旨は今さらここに書くまでもないでしょう。私も昨年、ChatGPTに関する訳書を出しましたが、

原理の理解はともかく、生成AI が私たちの仕事にどう影響するのか、関心がない人はいないと思います。「関心」の内容は人それぞれでしょうけど。

私自身は、それ以上に「AI を教育に」という話に興味があります。本当にそれが可能なのか。可能だとして、それに伴う影響や懸念はないのか。その影響は不可逆的なものではないのか……

当日、私自身の「発表」のようなものはありません。それぞれの発表について討論の時間があるので、そこで他の登壇者の皆さんからいろいろと話を聞いてみたいと思っています。

お申し込みは、前日4月13日(土)の20:00までです!

# 復活したEPWINGデータの紹介

ひとつ前の記事でご報告したように、大久保克彦さん作のEPWINGデータを、翻訳フォーラムが公開しています。

www.fhonyaku.jp

そちらでもいろいろ書きましたが、今回あらためて公開できたEPWINGデータについて、少しだけ詳しく解説しておきます。お読みになって興味がわいた方は、ぜひダウンロードして使ってみてください。

いま公開されているデータは、大きく分けると以下のとおりです。

  • 青空文庫のEPWINGデータ
  • Project Gutenbergのデータ
  • Wiktionaryのデータ
  • WordNetのデータ
  • 聖書パック
  • シェイクスピアパック

なお、それぞれの辞書の詳しい使い方は、上記サイトに旧公開サイトのWay Back Machineアーカイブページを載せてあるので、そちらをご覧ください。

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